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ストレッチは「メンテナンス」ではない?|歯磨きと定期健診で考える身体のセルフケア
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業/Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得/臨床歴25年以上/活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube: https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。LIVEで「施術を受けても、自分でメンテナンスしないと結局また元に戻るんですか?」という質問をいただきました。
この質問はすごくいいと思います。ただ、私が考える「メンテナンス」と、一般的に言われる「ストレッチや運動をすること」には少し違いがあります。
私はLIVEでこう例えました。**毎日の運動やストレッチは“歯磨き”。専門家が定期的に身体を確認することが“歯科健診”に近い。**どちらか一方だけではなく、役割が違うということです。
毎日の運動は「歯磨き」に近い
歯の健康を考える時、毎日の歯磨きは大切です。でも毎日歯を磨いているから、一生歯医者へ行かなくていいとはなりません。
逆も同じです。3か月に1回歯医者へ行っているから、毎日の歯磨きをしなくていいわけでもありません。
身体も似ています。
歩く。運動する。必要に応じてストレッチする。十分に睡眠を取る。こうした日常のセルフケアは、身体にとって基本的な習慣です。
私はこれを「メンテナンス以前の歯磨き」と考えています。
私が考えるメンテナンスは「定期的な確認」
では私が言うメンテナンスとは何か。
一番近いのは定期健診です。
今は特に症状がない。でも関節の可動域はどうか。以前より左右差が増えていないか。本人が気づいていないCompensation pattern(代償動作)が出ていないか。過去に問題があった場所がまた動きにくくなっていないか。
確認して何もなければ、「今回は大丈夫でした」で終わります。
問題が小さいうちに見つかれば、「ここは少し動きが落ちていますね」と早い段階で対応できます。
痛くなってから毎回ゼロから始めるのではなく、身体の変化を定期的に確認する。これが私の考えるメンテナンスです。
「自分でやればいい」は正しい。でも全員ができるわけではない
私は運動については比較的自分でできます。筋肉や運動方法を理解しているので、自分でトレーニングプランも作れます。
だから以前は、「なぜパーソナルトレーニングが必要なんだろう?自分でやればいいじゃないか」と本気で思っていた時期がありました。
でも違いました。
自宅ではできない人がいる。何をすればいいか分からない人もいる。知識はあっても続かない人もいる。
だからトレーナーが必要になる。
身体のセルフケアも同じです。
実際、筋骨格系のホームエクササイズでは「指示された通り続けること」自体が一つの大きな課題になっています。研究でも、セルフエクササイズへのAdherence(アドヒアランス/継続・実行度)には、自己効力感、社会的支援、具体的な指導、フィードバックなど多くの要因が関係するとされています。
つまり「家でやってください」と言っただけで全員ができるわけではない。これは本人の意志が弱いという単純な話でもありません。
ストレッチは「やれば何でも同じ」ではない
ストレッチも同じです。
例えば脚を数センチ違う方向へ向けるだけで、主に伸ばされる筋肉は変わります。本来ターゲットにしたい筋肉が分からないまま、「なんとなく脚を伸ばしています」という状態なら、目的と実際の運動が一致していないことがあります。
これは歯磨きと似ています。
本人は毎日一生懸命磨いている。でも歯医者へ行くと、「ここ磨けていませんよ」と言われる。
私自身も歯医者で同じことを言われます。電動歯ブラシまで使って、自分ではかなり頑張っているつもりです。それでも専門家から見れば足りないところがある。
身体もまったく同じだと思っています。
「運動している」と「必要な運動が正確にできている」は同じではありません。
分からないならラジオ体操でもいい
LIVEでは、「何をやればいいかまったく分からないなら、まずラジオ体操を正確にやるのも一つ」と話しました。
私は特定の運動が全員に万能だとは考えていません。でも、一般の人が自己流で珍しいストレッチへ次々手を出すより、広く普及している基本的な運動を丁寧に行う方が安全な場合があります。
もちろん、痛みがある人やドクターストップがかかっている人は別です。
LIVEでも「ドクターストップがかかっているなら、基本的には止めるべき」と話しました。納得できない場合は、無視して運動するのではなく、別の信頼できる医療専門家へSecond opinion(セカンドオピニオン)を求める方がいいと思います。
カイロプラクティックのメンテナンスは「毎回アジャストすること」ではない
ここも誤解されやすいところです。
定期的に来たら、毎回必ず同じ場所をアジャストする。私はそれをメンテナンスとは考えていません。
History(ヒストリー/問診)で前回からの変化を聞き、Range of motion(ROM/関節可動域)、左右差、Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)などを確認する。
そしてサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が現在あるのか、身体がどこかを代償しているのかを考える。
問題がなければ何もしない選択もあります。
必要ならAdjustment(アジャストメント)を行い、その後にReassessment(再評価)します。
「定期的に通わせること」がメンテナンスなのではなく、定期的に現在地を確認することがメンテナンスです。
セルフケアと専門家の確認は役割が違う
自分でできる人は、自分でやればいいと思います。運動ができる。身体の変化も把握できる。正しい方法も分かっている。それなら素晴らしいことです。
でも、できないことは恥ずかしいことではありません。
家で運動できないからジムへ行く人がいる。掃除が苦手だから家事代行を頼む人がいる。歯を自分だけでは管理しきれないから歯医者へ行く。
身体も同じです。
日常の「歯磨き」は自分で行う。そして時々、専門家と一緒に身体の状態を確認する。
私はこの二つを分けて考える方が、身体との付き合い方として分かりやすいと思っています。
このテーマをLIVEで話した部分
「自分でメンテナンスしないと元に戻る?」という質問 44:31~
https://www.youtube.com/watch?v=mGOvi1JCF2U&t=2671s
運動やセルフケアを「歯磨き」に例えた説明 45:36~
https://www.youtube.com/watch?v=mGOvi1JCF2U&t=2736s
専門家が考えるメンテナンスは「定期健診」という話 48:49~
https://www.youtube.com/watch?v=mGOvi1JCF2U&t=2929s
ストレッチやラジオ体操について 53:11~
https://www.youtube.com/watch?v=mGOvi1JCF2U&t=3191s
参考資料
Banerjee A, Hendrick P, Bhattacharjee P, et al. Behaviour Change Techniques to promote self-management and home exercise adherence for people attending physiotherapy with musculoskeletal conditions: A scoping review and mapping exercise. Physiotherapy. 2023.
筋骨格系の問題を持つ人のホームエクササイズ継続には、自己効力感、社会的支援、課題への評価など複数の要因が関係すると報告されています。
Beinart NA, Goodchild CE, Weinman JA, et al. Individual and intervention-related factors associated with adherence to home exercise in chronic low back pain: a systematic review. Spine Journal. 2013;13(12):1940-1950.
慢性腰痛を対象としたレビューでは、監督下での運動や行動変容プログラムへの参加などがホームエクササイズの継続と関連していました。
この記事の一次情報
本記事はDr.KazのLIVEで、「施術後、自分でメンテナンスしないと元へ戻りますか?」という質問に回答した内容をもとに構成しています。
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=mGOvi1JCF2U&t=1826s
ご相談・ご予約
「セルフケアを何をすればいいか分からない」「ストレッチを教わったけれど続かない」「症状がなくても身体を確認した方がいいのか知りたい」。私は、毎日のセルフケアと専門家による身体の確認を別の役割として考えています。
施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
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