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階段の上り下りで膝が痛い|「上りならここ、下りならここ」だけでは説明できない理由
執筆: Dr.Kaz 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
米国滞在8年
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座、福岡天神、岡山
「平地ではそれほど痛くないのに、階段になると膝が痛い」
この相談は珍しくありません。
しかも人によって、
上る時に痛い。
下りる時に痛い。
上りも下りも痛い。
と違いがあります。
私が学生だった約25年前は、階段の上りと下りを、前十字靱帯や後十字靱帯にかかる力の違いから比較的シンプルに説明することがありました。
もちろん靱帯にかかる力は現在でも重要です。
ただ、25年以上臨床を続けてきた今、私は階段で起こる膝痛を「一つの靱帯だけ」で説明することはしません。
膝はそれほど単純な関節ではないからです。
階段では平地より膝の仕事が増える
階段を上る時、私たちは身体を上へ持ち上げなければなりません。
下りる時には、逆に身体が一気に落ちないよう、脚でブレーキをかけながら身体を下ろします。
特に下りでは、大腿四頭筋などが力を出しながら伸ばされるeccentric contraction(伸張性収縮)が重要になります。
これは「筋肉を使っていない」のではありません。
むしろ身体が落下しないよう、かなり仕事をしています。
研究でも、階段昇降は平地歩行より膝への力学的要求が大きく、とくに階段下降では膝関節への負荷や筋肉による制御が大きくなることが報告されています。
だから、
「平地は歩けるけれど階段だけ痛い」
ということは十分に起こり得ます。
「上りで痛い=この靱帯」と決めない
膝には前十字靱帯、後十字靱帯、側副靱帯、半月板、関節軟骨、腱、筋肉など多くの組織があります。
それぞれが別々に働いているわけではありません。
階段を一段上るだけでも、
股関節
膝関節
足関節
大腿部の筋肉
下腿の筋肉
が連動しています。
そのため私は、
「上りで痛いから前十字靱帯」
「下りで痛いから後十字靱帯」
というような一対一の判断はしません。
痛みが膝の前なのか。
内側なのか。
外側なのか。
後ろなのか。
何段目くらいから出るのか。
階段だけなのか。
椅子から立つ時にも出るのか。
歩行やスクワットではどうなのか。
こうした情報を組み合わせます。
膝そのもの以外も見る
もう一つ重要なのが、膝だけを見ないことです。
階段では股関節、膝、足首が一つの運動連鎖として働きます。
たとえば足首が十分に動かない場合、その不足分を膝や股関節で補うことがあります。
股関節が本来の方向へ十分に動かなければ、膝に別の方向の力が加わることもあります。
ここで私が確認する一つが、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)です。
これは骨が大きく横へ外れているという意味ではありません。
本来その動作に参加するべき関節が、必要な方向や範囲へ十分に参加できず、別の場所が代償している可能性を見ます。
Motion palpation(モーション・パルペーション)で関節の方向を確認し、階段動作や膝の曲げ伸ばし、左右差なども組み合わせます。
筋肉が硬いからストレッチ、だけでも足りないことがある
階段で膝が痛い人の太ももを触ると、筋肉が硬くなっていることがあります。
しかし、
硬い筋肉=原因
とは限りません。
痛みや関節の不安定さ、動きにくさがある時に、身体がその場所を守るため筋肉を緊張させている場合があります。
つまり筋肉の硬さは「原因」ではなく「結果」の可能性もあります。
この場合、硬いからと強く揉んだり伸ばしたりする前に、
なぜそこが硬くなっているのか
を確認した方がいい。
私はそう考えています。
必要であれば、皮膚・皮下組織・筋膜周辺など軟部組織側の滑走性や左右差をメディセルで確認することもあります。
MMCではさらに「動き始め」を見る
最近、私が膝を見る時に加えているのがMMC(Micro Motion Care/マイクロモーションケア)です。
大きく膝を曲げたり伸ばしたりする前の、非常に小さなJoint playや初動を確認します。
例えるならファスナーです。
ファスナーが途中で少し引っかかった時、普通はいきなり全力で引っ張りません。
少し戻したり、角度を変えたりしながら、引っかかっているポイントを探します。
MMCで私が見ているのも、そのイメージに近いものです。
これは私が現在発展させている臨床モデルで、すべての膝痛を説明する確立された医学理論という意味ではありません。
ただ、大きな可動域では問題なく見えても「動き始め」に左右差があるケースを、私は臨床で経験しています。
階段で膝が痛い時に大切なのは「どの組織か」を最初から決めないこと
階段で膝が痛い。
それだけでは原因は決まりません。
靱帯かもしれない。
腱や筋肉かもしれない。
軟骨や半月板など関節内部の構造が関係しているかもしれない。
股関節や足首を含む関節運動や代償が関係している可能性もあります。
だから私は、
History(ヒストリー/問診)
動作確認
関節運動
左右差
必要に応じた軟部組織の確認
を組み合わせます。
そして何か施術を行ったら、同じ動きをもう一度確認する。
Reassessment(再評価)です。
「膝が痛いから膝を揉む」ではなく、
なぜ階段という動作で痛いのか。
そこから考えるのが私の膝の見方です。
このテーマをLIVEで話した部分
階段の上り下りで膝が痛いというテーマ 2:23~
https://www.youtube.com/watch?v=4dZjxeoPNRk&t=143s
膝の靱帯と階段動作について 6:03~
https://www.youtube.com/watch?v=4dZjxeoPNRk&t=363s
膝痛は一つの組織だけでは説明できないという話 9:46~
https://www.youtube.com/watch?v=4dZjxeoPNRk&t=586s
筋肉・腱・靱帯・軟骨・関節など複数を見る話 13:15~
https://www.youtube.com/watch?v=4dZjxeoPNRk&t=795s
参考資料
Increasing Trunk Mass Evokes Lower Extremity Biomechanical Plasticity during Stair Descent
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10464758/
この記事の一次情報
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=4dZjxeoPNRk
ご相談・ご予約
階段の上り下りで膝が痛い、ストレッチやマッサージを続けても繰り返す、膝だけではなく股関節や足首まで含めて確認したいという方はご相談ください。
施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
銀座料金案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/ginza-fee/
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