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坐骨神経痛とヘルニアは同じもの?|MRIでヘルニアが見つかっても原因とは限らない
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業/Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得/臨床歴25年以上/活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube: https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。LIVEで「坐骨神経痛とヘルニアの違いは何ですか?」という質問をいただきました。
結論から言うと、坐骨神経痛と腰椎椎間板ヘルニアは同じものではありません。ただし、ヘルニアによって神経根が影響を受け、その結果として坐骨神経領域に痛みやしびれが出ることはあります。
だから「坐骨神経痛の原因がヘルニア」という人はいます。でも、「坐骨神経痛=必ずヘルニア」ではありません。そしてもう一つ重要なのは、MRIでヘルニアが見つかったからといって、その画像所見が現在の痛みやしびれの原因だと自動的に決まるわけでもないということです。
坐骨神経痛は「症状」、ヘルニアは「構造の変化」
まずここを分けると理解しやすくなります。
坐骨神経痛という言葉は、お尻から太ももの後ろ、ふくらはぎなど、坐骨神経につながる領域へ痛みやしびれなどが出ている状態を表す時に使われます。
一方、椎間板ヘルニアは椎間板の組織が本来の境界を越えて突出した状態を指します。
つまり見ているものが違います。
「どこにどんな症状が出ているか」という話と、「椎間板にどんな構造変化があるか」という話です。
この二つが一致することもあれば、一致しないこともあります。
ヘルニアは坐骨神経痛の原因の一つ
腰椎椎間板ヘルニアによって神経根が影響を受ければ、脚へ放散する痛みやしびれ、筋力低下などが起こることがあります。これは医学的にも確立しているものです。
だから、症状の分布、筋力、感覚、反射などを確認し、必要に応じてMRIでヘルニアを確認することには大きな意味があります。
特に進行する筋力低下や膀胱直腸障害などがある場合は、速やかな医療評価が必要です。
ここをカイロプラクティックだけで何とかしようとは私は考えません。
ただし問題は、「MRIにヘルニアがあった」という事実だけで、現在の坐骨神経痛の原因まで確定したように考えてしまうことです。
痛くない人のMRIにも椎間板突出は見つかる
ここは非常に重要です。
症状のない人を対象にしたシステマティックレビューでは、椎間板変性、膨隆、突出などの所見が高い割合で認められています。例えば椎間板突出は、症状のない20歳でも約29%、80歳でも約43%に認められました。
つまりMRIで椎間板突出が見つかったとしても、「画像にある=現在の症状の原因」とは限りません。
ただし逆に、ヘルニアなどの画像所見は腰痛のある人でより多く認められるという研究もあります。
だから答えは「画像なんて関係ない」でも、「画像にあるから全部これが原因」でもありません。
画像と症状が一致しているかを見る必要があります。
私がLIVEで言いたかったのは「原因を探すこと」
LIVEではかなり率直に、「ヘルニアがあるからといって100%症状を生むとは限らない」と話しました。
私が臨床で大事にしているのはここです。
MRIにヘルニアがある。では今回の症状は本当にそのヘルニアと一致しているのか。
痛みやしびれはどこへ出ているのか。いつから始まったのか。腰の動きによって変化するのか。座っている時と歩いている時で違うのか。筋力低下や感覚異常はあるのか。
History(ヒストリー/問診)でこれらを整理したうえで、身体の動きも確認します。
過去の診断名だけを見て「今回もヘルニアでしょう」と決めない。私はそこをかなり大切にしています。
ヘルニア以外の要素も確認する
坐骨神経領域の痛みやしびれがある時、医学的に神経根障害などを確認することは当然重要です。
そのうえで私がカイロプラクティックで見るのは、関節運動や身体全体の連動です。
Range of motion(ROM/関節可動域)や左右差を確認し、Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)によって、腰椎や骨盤などがどの方向へ動きにくいのかを見る。
そして、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が現在の動きや症状に関係している可能性を臨床的に考えます。
ここでいうサブラクセーションは「ヘルニアを押し戻す」という意味ではありません。椎間板の画像所見とは別に、関節が本来参加すべき動きへ参加できているのか、周囲が代償していないかを見るカイロプラクティック独自の視点です。
必要な場合には方向と力を選んだAdjustment(アジャストメント)を行い、最初に症状が出た動作や可動域をReassessment(再評価)します。
「ヘルニアがある」という情報は大切。でも、それだけで終わらない
私はMRIや整形外科での診断を否定しているわけではありません。むしろ画像で確認できる構造的な情報は重要です。
ただ、画像と実際の身体は役割が違います。
MRIでは椎間板や神経周辺などの構造を見ることができます。一方、実際に身体を動かした時の左右差、どの関節がどの方向へ動きにくいのか、どの動作で症状が変化するのかは、身体を直接確認しなければ分からない情報があります。
だから私は両方をつなげます。
「ヘルニアがあります」で思考を止めない。「坐骨神経痛です」で終わらない。
なぜ今その症状が出ているのか。
そこまで考えるのが大切です。
手術で良くなる人もいる。それも事実
LIVEでも話しましたが、本当にヘルニアによる神経根への影響が症状の中心で、手術によって大きく改善する人はいます。
そこを否定するつもりはまったくありません。
一方で、画像上のヘルニアと症状の関係が単純ではないケースもあります。だからこそ、病名だけでなく現在の症状と身体所見を合わせて判断する必要があります。
「ヘルニアがあるから、もうずっとこの痛みと付き合うしかない」
そう思い込む必要もありません。
反対に、「画像は関係ないから放っておけばいい」と考えるのも違います。
画像、症状、神経学的所見、身体の動き。それぞれを分けて確認して、最後につなげる。
私はこの順番で身体を見ています。
このテーマをLIVEで話した部分
「坐骨神経痛とヘルニアの違い」という質問 18:46~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=1126s
ヘルニアと坐骨神経痛が関連する仕組みについて 19:51~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=1191s
坐骨神経痛にはヘルニア以外の原因もあり得るという話 20:58~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=1258s
ヘルニアが存在しても症状を出しているとは限らないという話 22:03~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=1323s
画像上のヘルニアと現在の症状を分けて考える話 24:13~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=1453s
参考資料
Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR American Journal of Neuroradiology. 2015;36(4):811-816.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25430861
症状のない人にも椎間板変性、膨隆、突出などが認められ、その割合は加齢とともに増加することを示したシステマティックレビューです。
Brinjikji W, Diehn FE, Jarvik JG, et al. MRI Findings of Disc Degeneration are More Prevalent in Adults with Low Back Pain than in Asymptomatic Controls: A Systematic Review and Meta-Analysis. AJNR American Journal of Neuroradiology. 2015;36(12):2394-2399.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26359154
一方、50歳以下では椎間板膨隆、突出、脱出など一部のMRI所見が無症状者より腰痛のある人で多く認められています。したがって画像所見は「意味がない」のではなく、症状や身体所見と合わせて解釈することが重要です。
World Federation of Neurosurgical Societies Spine Committee. Lumbar disc herniation: Epidemiology, clinical and radiologic diagnosis—WFNS spine committee recommendations. World Neurosurgery: X. 2024.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10911853
腰椎椎間板ヘルニアでは、症状の経過、筋力、感覚、神経学的所見などを確認し、必要に応じてMRIで評価することが推奨されています。
この記事の一次情報
本記事はDr.KazのLIVEで「坐骨神経痛とヘルニアの違い」について質問を受け、回答した内容をもとに構成しています。
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU
ご相談・ご予約
「MRIでヘルニアと言われたけれど症状が長く変わらない」「坐骨神経痛と言われたが原因がよく分からない」「画像の説明と自分の症状がどうも一致しない」。こうした場合、画像所見を尊重したうえで、現在の症状、神経学的な状態、関節運動や身体全体の連動を改めて整理する意味があります。
施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
料金案内
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