- 投稿日
- 最終更新日
椎間板がほとんどないと言われたら?|「狭くなった場所」だけを見ないという考え方
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業/Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得/臨床歴25年以上/活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube: https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。LIVEで60歳の方から「腰椎の4番と5番がほぼない状態ですが、対処できますか?」という質問をいただきました。お話を聞くと、3年前に脊柱管狭窄症の手術を受け、また痛みが出てきたため、現在インナーマッスルを鍛えているとのことでした。
ここで最初に整理したいのは、「椎間板のスペースが狭くなっている」という画像上の構造変化そのものを、カイロプラクティックで元の高さへ戻せるわけではないということです。私はそこを曖昧には言いません。
でも、「狭くなった場所を元に戻せない=もう何もできない」でもありません。私なら、その一か所だけではなく、脊柱全体の関節がどのように動き、どこへ負担が集まっているのかを見ます。
椎間板の変性は年齢とともに増える
椎間板は年齢とともに変化します。MRIを使って症状のない3,110人を調べたシステマティックレビューでは、椎間板変性が認められた割合は20歳で37%、80歳では96%でした。椎間板膨隆も20歳で30%、80歳では84%まで増えています。
ここで大事なのは、この研究の対象が「症状のない人」だったことです。
つまり、画像上で椎間板の変性や膨隆があることと、必ず痛みやしびれがあることは同じではありません。もちろん画像所見には意味がありますし、症状のある人で特定の変性所見が多いことも研究で示されています。だから「画像は関係ない」と言っているわけでもありません。
画像で分かる構造と、現在その人が感じている症状、そして実際の身体機能。この三つを一緒に考える必要があります。
私なら「潰れた場所」だけを何とかしようとは考えない
LIVEでは木に例えて話しました。
一本の木がすでに傷んでいる。それをずっと見ながら「この木を完全に元へ戻せないか」と考えるだけではなく、周りの木がどうなっているのかも見る。
脊柱も同じように考えます。
例えばL4-L5の椎間板スペースがかなり狭くなっている。それ自体を元の高さへ戻すことは目的にできません。でも腰椎にはその一か所しか関節がないわけではありません。骨盤もあります。股関節もあります。身体全体が連動して動いています。
だから私は、「その場所を元通りにできるか?」だけではなく、「その場所へ必要以上の負担を集めない身体の動きを保てるか?」という方向から考えます。
狭くなっていても「動き」は別に確認できる
ここがカイロプラクティックで私が重視する部分です。
構造的に椎間板スペースが狭くなっていることと、周囲の関節がどの方向へどの程度動いているかは、まったく同じ情報ではありません。
私はHistory(ヒストリー/問診)で手術歴、画像所見、現在の症状、以前と今回の違い、運動によってどう変化するかなどを確認します。そのうえでRange of motion(ROM/関節可動域)や左右差を見て、Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を実際に動かしながら行う触診)によって、どの関節がどの方向へ動きにくいのかを確認します。
そして、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が全体の動きへ関係している可能性を考えます。
ここでいうサブラクセーションは、椎間板を膨らませたり、狭くなったスペースを広げたりするという意味ではありません。関節が本来参加すべき動きへ十分に参加できず、その分を別の場所が代償していないかを見る考え方です。
トレーニングは良い。でも「動けるフレーム」も確認したい
質問された方はインナーマッスルを鍛えているとのことでした。私はLIVEでも「それは非常にいい」と答えました。
筋力を維持することは大切です。
ただし私なら、トレーニングだけではなく、その力を受ける身体のフレームがどう動いているのかも確認します。
LIVEでは歯に例えました。しっかり噛むこと自体は良い。でも噛み合わせや歯の状態に問題があるまま負荷を繰り返せば、別の問題が起こる可能性があります。
身体も同じです。筋肉を鍛えることと、関節が適切に動ける状態を確認することは別の話です。
だから「トレーニングかカイロか」という二択ではありません。必要な筋力を維持しながら、身体がその力を受けられる状態なのかを確認する。私は両方を考えます。
画像を無視するのでも、画像だけを見るのでもない
椎間板が狭い。変性している。ヘルニアがある。こうした画像所見を軽く考えてはいけません。
一方で、画像だけを見て「ここが悪いから、あなたの症状は全部ここからです」と決めるのも違います。
実際、症状のない人にも加齢に伴う脊椎の変性所見は高い割合で見つかります。だから研究でも、画像所見はその人の臨床状態と合わせて解釈する必要があるとされています。
これは私がカイロプラクティックで身体を見る時の考え方とも重なります。
画像は構造を見るもの。私はそこへ、現在の動き、左右差、症状が出る動作、関節の動き方という別の情報を加えます。
そして必要な場合には方向と力を選んだAdjustment(アジャストメント)を行い、施術後に同じ動きをReassessment(再評価)します。
「元に戻らない」と「何もできない」は同じではない
年齢とともに起きた構造変化や、すでに大きく変性した椎間板を若い時の状態へ戻す。それを期待させることは私はしません。
でも、そこで話を終わらせる必要もありません。
現在どの関節が動いているのか。どこが動きにくいのか。狭くなった場所の周囲へどんな負担がかかっているのか。身体全体で負荷を分散できているのか。
「悪くなった一か所をどうにかする」から、「残っている身体機能をどう使うか」へ視点を変える。
椎間板のスペースが狭いと言われて不安になっている方に、私が一番伝えたいのはここです。
なお、手術後に再び強い痛みが出た場合や、進行する筋力低下、排尿・排便障害、会陰部の感覚異常などがある場合は、カイロプラクティックより先に医療機関での再評価が必要です。
このテーマをLIVEで話した部分
「腰椎4番5番がほぼない状態ですが対処できますか?」という質問 12:03~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=723s
椎間板スペースが狭くても症状が必ず出るわけではないという話 13:08~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=788s
悪くなった一か所だけでなく脊柱全体を見るという話 14:12~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=852s
手術後・60歳の方のインナーマッスルトレーニングについて 16:24~
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU&t=984s
参考資料
Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR American Journal of Neuroradiology. 2015;36(4):811-816.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25430861
症状のない3,110人を対象とした33研究のシステマティックレビューです。椎間板変性や膨隆などの画像所見は加齢とともに増加し、痛みのない人にも高い割合で認められました。画像所見は本人の症状や身体所見と合わせて解釈する必要があると結論づけています。
この記事の一次情報
本記事はDr.KazのLIVEで、腰椎の椎間板スペースがほとんどないと言われた方からの質問に回答した内容をもとに構成しています。
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=Shj5uKtTFWU
ご相談・ご予約
「椎間板が潰れていると言われて不安」「画像ではかなり変性していると言われた」「手術後にまた腰が気になってきた」。こうした場合、画像を無視するのではなく、その情報を踏まえたうえで現在の関節運動や身体全体の連動を確認するという考え方があります。
施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
料金案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/ginza-fee/
無料相談
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/consultation/
銀座・虎ノ門エリアの初回予約はこちら
https://airrsv.net/dr-chiro-tokyonakameguro/calendar
福岡天神の初回予約はこちら
https://airrsv.net/dr-chiro-fukuokahakata/calendar
