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尾てい骨が痛いのは「骨」だけが原因?|座り方・仙骨・骨盤周囲まで見る理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「硬い椅子に座ると尾てい骨が痛い」「昔、尻もちをついてからずっと気になる」
尾てい骨周辺の痛みでは、実際に尾骨そのものが関係する場合があります。しかし私は、痛い場所だけを見て「尾骨だけの問題」とは考えません。
外傷による骨折や尾骨の異常な動きがないかを医療機関で確認する必要があるケースもあれば、仙骨・骨盤・股関節との連動や、骨盤底を含む周囲の軟部組織が関係している可能性もあります。
2026年8月26日のLIVEでは、この「尾てい骨へ直接何かをするのではなく、その周囲まで見る」という考え方を詳しく話しました。
尾てい骨の痛みは、まず尻もちや外傷を確認する
尾てい骨の痛みで最初に分けたいのは、転倒など明確な外傷があるかどうかです。
尾骨周囲の痛みはcoccydynia、coccygodyniaなどと呼ばれます。代表的な症状は座った時の痛みで、立ち上がる瞬間に強くなることもあります。
原因として、尻もちなどの外傷、長時間の座位、出産などが知られています。一方、原因を明確に特定できないケースもあります。最近のレビューでも、外傷だけですべての尾骨痛を説明できるわけではないことが示されています。
LIVEでも私は、まず「昔、尻もちをついたことはないか」という話をしました。
元LIVE・尾てい骨の外傷について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=260s
強く尻もちをついた直後から痛い場合、特に痛みが強い、歩行にも支障がある、神経症状があるといった場合には、まず整形外科などで確認してください。
ここはカイロプラクティックより医療機関が先です。
尾骨は「座るための骨」ではない
尾てい骨が痛い人には、座っている時間だけではなく、座り方も確認したいところです。
LIVEでは、椅子へ浅く座って骨盤を後ろへ倒し、身体をずるっと前へ滑らせるような座り方について話しました。
元LIVE・座り方について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=787s
本来、座位では左右の坐骨で身体を支えます。
ところが骨盤が大きく後ろへ倒れた姿勢になると、仙骨から尾骨側へ圧がかかりやすくなります。
尾骨痛では長時間の座位が症状を誘発することが知られており、座った状態と立った状態で尾骨の位置を比較する動態X線が評価に使われることもあります。静止した画像だけでは分からない異常な尾骨運動が確認される場合もあります。
だから私は、「何時間座っていますか?」だけではなく、「どう座っていますか?」まで見ます。
尾てい骨が痛くても、尾てい骨だけを見るわけではない
尾骨は単独で浮いている骨ではありません。
その上には仙骨があり、さらに左右には仙腸関節、骨盤、股関節があります。また周囲には靱帯や骨盤底筋群などの軟部組織があります。
つまり、尾てい骨周辺の痛みがあるからといって、
尾骨だけ。
仙骨だけ。
筋肉だけ。
のどれか一つに最初から決めるのは無理があります。
文献上も、尾骨以外では腰仙部、仙腸関節、梨状筋、骨盤内の問題などが尾骨周辺の痛みとして現れる可能性があります。
ここは私の臨床的な見方とも一致します。
私は、痛い場所そのものと、その場所へ負担を集めている周囲の構造を分けて考えます。
私が見るのは仙骨・骨盤・股関節までの「連動」
尾骨そのものを強く押したり、無理に動かしたりすることを私は基本的な発想にはしません。
まずHistory(ヒストリー/問診)で、
いつから痛いのか。
尻もちなどの外傷はあったのか。
座って何分くらいで痛くなるのか。
立ち上がる時に痛いのか。
歩行ではどうなのか。
腰痛や臀部痛もあるのか。
といった条件を整理します。
そのうえで仙骨、骨盤、股関節の動きを確認します。
サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が関係していると考える場合には、ここでいう骨格のズレを「骨が横へ飛び出した状態」とは考えません。
仙骨や骨盤、股関節などが本来参加すべき動きへ十分に参加できず、その不足を別の場所がCompensation pattern(代償動作のパターン)として補っていないかを見るという意味です。
大きな動きだけでなく、マイクロモーションを見る
今回のLIVEでは、尾骨周辺の話から、仙骨や仙腸関節のマイクロモーションにも触れました。
元LIVE・仙骨、仙腸関節とマイクロモーション
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=525s
人の関節は、目で見て分かる大きな動きだけをしているわけではありません。
私は最近、関節が動き始める非常に小さなJoint play(関節の遊び)を以前より強く意識しています。
大きく曲げれば動く。
歩くこともできる。
それでも、関節へごく小さな力を加えた時に方向によって抵抗が違う。
私はこうした微細な関節運動も身体を見る情報の一つとして扱っています。
ただし、「尾てい骨が痛い=仙腸関節のマイクロモーションが原因」と一般化する話ではありません。
一つの判断材料です。
軟部組織側はメディセルで確認する
今回のLIVEでは、尾骨・仙骨周囲の筋肉や軟部組織についても話しました。
元LIVE・骨盤周囲の軟部組織について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=460s
骨盤周囲には多くの筋肉や筋膜周辺組織があり、股関節が動くたびに組織同士も動きます。
私が「筋膜の癒着」とLIVEで表現しているものは、公開記事では、皮膚・皮下組織・筋膜周辺などの軟部組織が周囲と滑らかに動きにくくなった状態として捉えます。
ここで私が使うのがメディセルです。
皮膚を吸引しながら機器を動かし、軟部組織の滑走性、左右差、過敏性を確認します。
カイロプラクティックでは関節・骨格側。
メディセルでは軟部組織側。
私は両者を分けて確認したうえで、必要な順番で組み合わせます。
当院の最大の特徴であるカイロとメディセルのコンビネーションです。
尾てい骨を直接「元の位置へ戻す」とは考えない
ここはLIVEから公開記事へ整理するうえで重要な部分です。
尾骨痛には、実際に尾骨の異常な可動性が認められる場合があります。また医療や理学療法領域では、直腸内から尾骨の可動性を評価したり、徒手的にアプローチした報告も存在します。
しかし私は、「周囲を調整すれば尾骨が元の位置へ戻る」と結果まで保証する表現にはしません。
私がカイロプラクティックで見るのは、仙骨・骨盤・股関節など周囲の関節運動です。
その動きが変わった時に、
座った時の感覚はどうか。
立ち上がる動作はどうか。
左右差はどうか。
をReassessment(再評価)します。
尾骨そのものへ直接強い刺激を加えなくても、周囲から確認できることはあります。
ここが私の考えです。
医療機関を先に受診した方がいい尾てい骨痛
尻もちや転倒の直後から激しく痛む場合は、骨折などを確認する必要があります。
また、尾骨周辺の痛みにはまれながら感染、腫瘍、毛巣洞など別の病態が含まれる可能性もあります。画像診断はこうした原因を確認するうえでも役割があります。
外傷後に強い痛みがある。
痛みが強くなり続ける。
発熱や腫れがある。
排尿・排便などに異常がある。
脚の強いしびれや筋力低下を伴う。
こうした場合は、カイロの予約より先に医療機関で評価を受けてください。
FAQ
尾てい骨が痛いのは骨折でしょうか?
尻もちなど明確な外傷があれば骨折も候補になりますが、尾骨痛の原因はそれだけではありません。外傷後に強い痛みが続く場合は、整形外科などで確認してください。
長時間座っているだけでも痛くなりますか?
あります。長時間の座位は尾骨痛に関係する要素の一つです。私は座っている時間だけでなく、仙骨・尾骨側へ体重を預ける座り方になっていないかも確認します。
カイロでは尾てい骨を直接触りますか?
私は尾骨へ強い直接操作を行うことを基本にはしていません。仙骨、骨盤、股関節など周囲の関節運動と全体の連動を確認します。
メディセルも使いますか?
骨盤周囲の軟部組織に滑走性の左右差や動きにくさが関係すると考えた場合には使用します。尾骨痛だから全員へ行うわけではありません。
この記事の結論
尾てい骨の痛みは、尾骨だけを見れば分かるとは限りません。
外傷や骨折を確認する。
座り方を見る。
仙骨・骨盤・股関節の動きを見る。
周囲の軟部組織を見る。
そして必要なら医療機関の画像情報も使う。
私はその情報をつないで考えます。
痛い場所へいきなり手を出すのではなく、「なぜそこへ負担が集まっているのか」まで確認する。
そこからが私のカイロプラクティックです。
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年8月26日
動画タイトル
尾てい骨の痛み
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg
尾てい骨の外傷について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=260s
尾骨・仙骨周囲の軟部組織について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=460s
仙骨・仙腸関節とマイクロモーションについて
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=525s
座り方について
https://www.youtube.com/watch?v=QSpKIwpmgLg&t=787s
文字起こし一次資料
参考資料
Coccyx pain
2026
PubMed掲載ページ
Coccygodynia—Diagnosis and Treatment
PubMed掲載ページ
Imaging Coccygeal Trauma and Coccydynia
Radiographics, 2020
PubMed掲載ページ
A comparison of conservative interventions and their effectiveness for coccydynia: a systematic review
PubMed掲載ページ
