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カイロの「ボキボキ」が怖い人へ|首の痛みでも強い刺激だけが選択肢ではない
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「首はつらい。でもカイロのボキッという音が怖い」
これは珍しいことではありません。
先に答えると、私はカイロプラクティックを「関節を鳴らす技術」だとは考えていません。目的は音ではなく、どの関節がどの方向へ動きにくいのかを確認し、その人に必要な方法を選び、最後にもう一度動きを確認することです。
2026年8月22日のLIVEでは、ちょうどこの質問が出ました。私は「ボキボキが嫌なら、使わない選択肢もある」と話しています。
カイロプラクティック=ボキボキではない
私は25年以上、カイロプラクティックを臨床で使ってきました。
アジャストメントには、速い小さな力を使う方法もあります。
その際に関節音が出ることがあります。
しかし、その音を出すことが目的ではありません。
私が見るのは、
どこが動いていないか。
どの方向へ動いていないか。
その動きの不足をどこが補っているか。
です。
Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)で必要な関節と方向を確認し、方法を選びます。
つまり、
「ここを鳴らせば身体が整う」
という考えではありません。
首の痛みにもmobilizationという選択肢がある
この考え方は、私個人だけの特殊な話でもありません。
首痛に対する臨床ガイドラインでは、manipulationだけではなくmobilization、つまり関節へ比較的穏やかな反復運動を加える方法も選択肢として扱われています。
最近発症した首痛に対しても、mobilization、manipulation、ROM運動など複数の方法を組み合わせる考え方が示されています。
さらに2024年の系統的レビューでも、首痛への手技について「頚椎へ強いスラストを入れなければ何もできない」というほど単純な結果にはなっていません。手技の選択には症状、リスク、患者の状態などを考える必要があります。
The Treatment of Neck Pain-Associated Disorders and Whiplash-Associated Disorders
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27836071/
Cervical manipulation versus thoracic or cervicothoracic manipulations
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38492291/
「怖い」を無視して施術する必要はない
LIVEでは私は、歯医者を例にしました。
「できるだけ痛くしてほしくない」
「できるだけ怖いことをされたくない」
これは普通の感覚です。
同じように、
首を鳴らされるのが怖い。
音そのものが嫌い。
以前どこかで受けた施術が怖かった。
そういう人がいて当然です。
元LIVE・ボキボキが怖い人への話
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1774s
低刺激の方法を選ぶ話
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1837s
施術は、怖さを我慢する競技ではありません。
私は必要な情報を取ったうえで、その人が受け入れられる方法を選びたいと考えています。
私が最近さらに重視している「小さな関節運動」
このLIVEでは、私は新しく使い始めていた低刺激の微小運動アプローチについても話しています。
当時LIVEではMMCという呼び方をしています。
現在私が注目しているのは、関節を大きく動かした最後の位置だけではありません。
動き始める前後の非常に小さなJoint play(ジョイントプレイ/関節の遊び)です。
大きな力で一気に動かす前に、
ほんの小さく動かした時に抵抗があるか。
左右で違うか。
方向によって反応が違うか。
そこを確認する。
この考え方は、私がマイクロモーションを臨床へ組み込み始めた理由の一つです。
私は「強いほど効く」とは考えていません。
必要な入力を必要な強さで入れることの方が大事です。
それでもAdjustmentが必要と考える場合はある
低刺激の方法を使えるからといって、従来のAdjustment(アジャストメント)が不要になったとも考えていません。
ここは大事です。
身体を確認した結果、
この関節。
この方向。
この動き。
に対してAdjustmentを使う方が適していると考える場合があります。
一方で、その人が強い恐怖を持っていたり、別の方法で十分確認できたりするのであれば、無理に行う必要はないと考えます。
技術が先ではありません。
身体が先です。
私は自分の持っている一つの方法へ身体を合わせるのではなく、身体を見て方法を選びたいのです。
寝違えなら、まず何を確認するのか
寝違えた首なら、いきなり施術には入りません。
History(ヒストリー/問診)で、
いつから痛いのか。
どの方向が痛いのか。
起床時なのか。
前日に運動や外傷がなかったか。
腕や手のしびれはないか。
を確認します。
次にRange of motion、ROM(関節可動域)で左右差と痛みの出方を確認します。
そして必要に応じて頚椎・胸椎の関節運動を確認します。
サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が現在の首痛へ関係している可能性があると考えれば、その人に適した方法を選びます。
サブラクセーションは脱臼という意味ではありません。
関節が本来参加すべき方向へ十分に動けず、周囲が補っている可能性を含むカイロプラクティック上の見方です。
カイロとメディセルを組み合わせる理由
首が動かしにくい時、関節だけが問題とは限りません。
皮膚や皮下組織、筋膜周辺などの軟部組織にも強い緊張や動きにくさがある場合があります。
そこで私はメディセルを組み合わせることがあります。
カイロプラクティックでは関節の動きと骨格の連動を見る。
メディセルでは軟部組織の滑走性や左右差を見る。
必要に応じて低刺激のマイクロモーションを使う。
そして最後に同じ首の動きをReassessment(再評価)する。
私が重視しているのは、「何の技術をやったか」ではありません。
最初に確認した問題が、施術後にどうなったかです。
強い首痛では「何でも動かせばいい」わけではない
首は慎重に扱う必要がある部位です。
発熱、重大な外傷、進行する神経症状などのred flagがある場合、頚椎のmobilizationやmanipulationが不適切と判断される臨床シナリオがあります。国際的なガイドラインのレビューでも、手技を行う前のリスク評価の重要性が指摘されています。
特に、
手足に力が入りにくい。
強いしびれが広がる。
歩きにくい。
発熱を伴う。
大きな事故のあとから痛い。
などがあれば、まず医療機関で確認してください。
「ボキボキしないから安全」と単純に決める話でもありません。
何をするか以前に、何をしてよい状態なのかを確認することが大切です。
FAQ
カイロは必ず首をボキボキしますか?
いいえ。私は音を鳴らすことを施術目的にはしていません。状態と希望を確認し、mobilizationや低刺激の方法を含めて選択します。
ボキッと鳴らないと関節は動いていないのですか?
そうとは限りません。関節音の有無と、必要な関節運動が得られたかは別です。私は施術後のROMや本人の感覚などを再評価します。
怖いと伝えても大丈夫ですか?
もちろんです。むしろ最初に教えてください。無理に怖い方法を受ける必要はありません。
寝違えでも低刺激の方法は使えますか?
状態によります。まず外傷や神経症状などを確認したうえで、適応があると考えれば選択肢になります。
この記事の結論
私はカイロプラクティックを、
「ボキボキする仕事」
とは考えていません。
History。
動作確認。
関節の方向。
サブラクセーション。
必要な入力。
そしてReassessment。
この一連の判断がカイロプラクティックです。
従来のAdjustmentが適している場合もあります。
低刺激の方法を選ぶ場合もあります。
軟部組織が関係すればメディセルを組み合わせる場合もあります。
施術方法を先に決めるのではなく、身体を確認してから方法を決める。
そして、怖い方法を無理に選ばない。
これが私の現在の臨床スタイルです。
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年8月22日
動画タイトル
寝違えの原因 日本とアメリカで見方が違う!
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0
低刺激の新しい方法について
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1774s
ボキボキが怖い人にも別の選択肢を使うという話
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1837s
従来のAdjustmentと低刺激の方法をどう考えるか
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1901s
文字起こし一次資料
参考資料
The Treatment of Neck Pain-Associated Disorders and Whiplash-Associated Disorders: A Clinical Practice Guideline
Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics. 2016
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27836071/
Cervical manipulation versus thoracic or cervicothoracic manipulations for the management of neck pain
Musculoskeletal Science and Practice. 2024
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38492291/
Recommendations for Mobilization and Manipulation Treatment and Screening for Vascular Complications in Clinical Practice Guidelines for Neck Pain
Physical Therapy. 2025
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39791243/
Clinical Scenarios for Which Cervical Mobilization and Manipulation Are Considered Appropriate and Inappropriate for Patients With Chronic Neck Pain
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31985500/
