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寝違えの原因は「不明」なのか?|日本とアメリカで首の関節を見る位置づけが違う
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「朝起きたら首が動かない。いわゆる寝違えは、結局何が起きているのでしょうか?」
先に答えると、「寝違え」は原因を示す病名ではありません。日本整形外科学会も、筋肉の血流不足やけいれん、頚椎後方の椎間関節を包む関節包の炎症など複数の可能性を挙げながら、どれが正確な原因かを証明できる所見は一般に得られない、と説明しています。
一方、アメリカでは首の痛みを評価する際に、頚椎のsegmental mobility、つまり一つひとつの関節の動きの問題を確認する考え方が臨床制度の中に明確に存在します。
2026年8月22日のLIVEでは、私はこの違いについてかなり強く話しました。公開記事では一次資料を改めて確認したうえで、「日本は関節を否定している、アメリカだけが正しい」という単純な話ではなく、何を臨床上の評価対象として前面に置くかの違いとして整理します。
そもそも「寝違え」は病名ではない
「寝違え」は、朝起きた時などに首から肩へ痛みが出たり、首を動かしにくくなった状態を一般的に表す言葉です。
ですから、「寝違えです」と言われても、それだけでは原因は分かりません。
日本整形外科学会は、寝違えについて、
筋肉への血流不足
筋肉のけいれん
頚椎後方の椎間関節にある関節包の炎症
長時間同じ姿勢で眠ること
前日の運動や労働
などを可能性として挙げています。
そして重要なのは、「正確な原因であるという証拠はない」としていることです。
LIVEで私はここを「日本では原因不明になっている」と表現しました。
ただし、一次資料まで読めば、日本整形外科学会が関節を無視しているわけではありません。
実際に「椎間関節の関節包の炎症」も候補に入っています。
ここは正確にしておきたいところです。
日本整形外科学会「寝違え」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/sprained_neck.html
では、アメリカとの違いは何なのか
私が感じている違いは、「関節の機能異常を臨床上どこまで独立した評価対象として扱うか」です。
アメリカの制度を見ると、M99.01というICD-10-CMコードとして、
Segmental and somatic dysfunction of cervical region
つまり「頚椎領域の分節性・体性機能障害」が明示されています。
アメリカのMedicareにおけるカイロプラクティックサービスでも、このコードは実際に使用されてきました。
これは「寝違えの原因の何%が関節である」と証明している資料ではありません。
ここは混同してはいけません。
しかし少なくとも、首の痛みを考える時に「頚椎の各関節がどう動いているか」という問題が、制度上も独立した臨床概念として扱われていることは確認できます。
CMS Chiropractic Services
https://www.cms.gov/medicare-coverage-database/view/article.aspx?articleid=58412
アメリカの首痛ガイドラインでも関節の動きを確認する
さらに興味深いのは、首痛の評価方法です。
APTAが紹介する「Neck Pain: Revision 2017」のガイドラインでは、neck pain with mobility deficits、つまり「動きの制限を伴う首痛」を評価する際に、
頚椎のActive ROM
頚椎の分節性モビリティ
胸椎の分節性モビリティ
などを確認することが推奨されています。
ここが、私がアメリカでカイロプラクティックを学んだ時の感覚に近いのです。
「首が痛い」
そこで終わらない。
どちらへ回らないのか。
どこから動かなくなるのか。
一つひとつの関節はどう動いているのか。
別の関節が代わりに動いていないか。
その情報を取ります。
APTA Cervical Active Range of Motion
https://www.apta.org/patient-care/evidence-based-practice-resources/test-measures/cervical-active-range-of-motion-crom-cellphone-applications-apps-use-in-measuring-cervical-range-of-motion
私は寝違えを「筋肉だけ」の問題として見ない
寝違えた首は、筋肉がガチガチになることがあります。
当然、筋肉は見ます。
しかし私は、「筋肉が硬いから痛い。では筋肉を緩めよう」で終わりにはしません。
なぜその筋肉が固まったのか。
そこが重要だからです。
首を右へ回そうとすると痛い。
左へ倒せない。
ある角度だけ急に止まる。
こういう時には、Range of motion、ROM(関節可動域)だけでなく、Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を実際に動かしながら行う触診)を使い、どの関節がどの方向へ参加しにくくなっているかを確認します。
その結果、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が関係している可能性を考えることがあります。
ここでいうサブラクセーションは脱臼ではありません。
関節が本来参加すべき方向の動きへ十分に参加できず、その不足を周囲の関節や筋肉が補っている可能性を含めた、私のカイロプラクティック上の見方です。
寝違えだから首だけを触るわけでもない
私が最初に行うのはHistory(ヒストリー/問診)です。
本当に朝起きた時からなのか。
前日にいつもと違う運動をしたのか。
首を以前から動かしにくかったのか。
過去に交通事故やスポーツで首を痛めたことがあるのか。
腕のしびれや筋力低下はないのか。
まずそこを整理します。
そのうえで首の動き、左右差、肩や胸椎との連動を確認します。
必要な場合にはAdjustment(アジャストメント)を行い、最初に痛かった方向へ再び首を動かしてReassessment(再評価)します。
音を鳴らしたことを成果にはしません。
「最初と同じ動きをした時に何が変わったか」を確認するところまでが、私のカイロプラクティックです。
日本とアメリカ、どちらが正しいという話ではない
今回のLIVEでは、私はかなり率直に「日米で全然違う」と話しています。
元LIVE・日本とアメリカの見方について
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=156s
再び日米の違いについて説明した部分
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1109s
さらに後半でも、アメリカではsegmental dysfunctionという考え方が臨床上使われているという話をしています。
公開にあたり資料まで確認した現在の私の整理は、こうです。
日本でも椎間関節の問題は候補に入っています。
しかし「寝違え」という状態について原因を一つには断定していません。
一方、アメリカのカイロプラクティックや首痛の評価体系では、頚椎のsegmental mobilityやsegmental dysfunctionを具体的に評価する枠組みがあります。
私がアメリカで学んできた臨床では、この「関節の動きを一個ずつ見る」という部分を非常に重視します。
この違いが、私が日本で一般的に行われる「寝違えだから湿布、電気、マッサージ」という発想だけでは足りないと感じる理由です。
もちろん、それらで楽になる人を否定する話ではありません。
見る対象が違うという話です。
医療機関を先に受診した方がいい首痛もある
すべての急な首痛を寝違えだと思わないことも重要です。
痛みが数日たっても強いまま続く。
腕や手にしびれがある。
手足に力が入りにくい。
歩きにくい。
発熱など別の症状がある。
強い外傷のあとから痛い。
こうした場合は、カイロプラクティックより先に整形外科などの医療機関で評価を受けてください。
日本整形外科学会も、通常の寝違えとして経過しない場合には、頚椎椎間板ヘルニア、神経根症、脊髄症、腫瘍、炎症性疾患など別の疾患を除外する必要があると説明しています。
FAQ
寝違えは筋肉の問題ですか?
筋肉の血流不足やけいれんは候補の一つです。ただし、椎間関節の関節包など関節側の問題も候補に含まれます。私は筋肉だけで決めず、実際の首の動きを確認します。
寝違えは骨格のズレが原因ですか?
すべての寝違えを骨格のズレだけで説明することはできません。私はサブラクセーションが関係している可能性を考えますが、問診・動作・触診などを合わせて判断します。
マッサージを受けてもいいですか?
日本整形外科学会も、マッサージで楽になる場合がある一方、余計に痛くなる場合もあるとしています。強い痛みがある時に無理に揉んだり伸ばしたりすることは勧めません。
アメリカでは寝違えを何と呼ぶのですか?
日本語の「寝違え」と完全に一対一で対応する診断名があるわけではありません。急性の首痛やmobility deficit、cervical segmental dysfunctionなど、その状態や所見に応じた表現が使われます。
この記事の結論
「寝違え」は原因名ではありません。
日本でも筋肉だけでなく椎間関節の関節包などが候補として挙げられています。
アメリカとの大きな違いとして私が注目しているのは、頚椎のsegmental dysfunctionや分節性モビリティを、具体的な評価対象として扱う臨床体系が存在することです。
私は寝違えた首を、
痛い場所だけ。
硬い筋肉だけ。
枕だけ。
では見ません。
どの関節が、どの方向へ動いていないのか。
身体がどこでその不足を補っているのか。
そこまで確認し、必要なアプローチを選び、もう一度同じ動きを確認します。
ここが、私がアメリカで学んだカイロプラクティックから寝違えを見る時の基本です。
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https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年8月22日
動画タイトル
寝違えの原因 日本とアメリカで見方が違う!
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0
寝違えと日米の考え方について
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=156s
寝違えの原因について再度説明した部分
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=1109s
Segmental dysfunctionについて話した部分
https://www.youtube.com/watch?v=w-Fof0V1Iu0&t=3913s
文字起こし一次資料
参考資料
「寝違え」
公益社団法人 日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/sprained_neck.html
Cervical Active Range of Motion
American Physical Therapy Association
https://www.apta.org/patient-care/evidence-based-practice-resources/test-measures/cervical-active-range-of-motion-crom-cellphone-applications-apps-use-in-measuring-cervical-range-of-motion
Billing and Coding: Chiropractic Services
Centers for Medicare & Medicaid Services
https://www.cms.gov/medicare-coverage-database/view/article.aspx?articleid=58412
The Treatment of Neck Pain-Associated Disorders and Whiplash-Associated Disorders: A Clinical Practice Guideline
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27836071/
