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10秒片足立ちができないと生命リスクが高い?研究から見える身体機能のサイン
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業/Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得/臨床歴25年以上/活動拠点: 銀座・東銀座エリア、福岡天神
YouTube: https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。「片足で10秒立てますか?」かなり簡単なテストに見えます。でも、2022年にBritish Journal of Sports Medicineで発表された研究では、51〜75歳の1,702人を対象に10秒間の片足立ちを行い、その後中央値7年間追跡したところ、10秒立てなかった人では全死亡リスクが高いことが報告されています。年齢、性別、BMI、併存疾患などを調整した後でも、10秒立てなかったグループの全死亡ハザード比は1.84でした。約1.8倍です。
ただし、ここで誤解してはいけません。「10秒立てないから寿命が短くなる」という意味ではありません。私がこの研究で面白いと思ったのは、片足立ちという非常に単純な動作に、身体全体の機能がかなり表れている可能性があることです。
10秒片足立ちはどうやって行うのか
LIVEでも実際にやり方を説明しました。研究では、裸足で平らな場所に立ちます。片足を少し浮かせ、腕は身体の横。正面約2m先を見ながら10秒間キープします。左右どちらの足でもよく、最大3回まで挑戦できます。
ものすごく難しい運動ではありません。だからこそ、これができるかどうかは一つの身体機能の目安として面白いわけです。
年齢とともに「できない人」は急激に増える
研究では、10秒片足立ちができなかった割合は年齢とともに大きく増えていました。
51〜55歳:約4.7%/56〜60歳:約8.1%/61〜65歳:約17.8%/66〜70歳:約36.8%/71〜75歳:約53.6%
50代前半なら、ほとんどの人ができます。ところが60歳を超えたあたりから、できない人がかなり増えていきます。71〜75歳では半数以上が10秒をクリアできませんでした。この数字を見ると、バランス能力が加齢とともに落ちていくことがよく分かります。
立てなかった人は全死亡リスクが約1.8倍だった
この研究で特に注目されたのが、その後の追跡結果です。中央値7年間の追跡期間中、全体の7.2%が亡くなりました。10秒片足立ちができたグループでは4.6%、できなかったグループでは17.5%でした。
ただし、この単純比較だけでは、できなかった人の方が高齢だったことなどの影響を受けます。そこで研究者は年齢、性別、BMI、併存疾患などを調整しました。その結果でも、10秒片足立ちができなかった人の全死亡ハザード比は1.84。つまり、約1.8倍高いという関連が残りました。ここはLIVEでは分かりやすく「約2倍」と話しています。
10秒立てないことが病気を作るわけではない
ここはかなり大事です。10秒片足立ちができないから病気になる。10秒立てるようになれば寿命が延びる。そういう因果関係が証明された研究ではありません。研究そのものも観察研究です。
私がLIVEで話したのも、「片足立ちが悪いから病気になる」という意味ではありません。むしろ逆です。片足で10秒立つためには、筋力、股関節・膝関節・足関節などの機能、Proprioception(固有感覚)、視覚、前庭系によるバランス機能、神経系の反応、全身を協調させる能力など、いろいろな身体機能が必要です。
こうした複数の要素が組み合わさって、初めて「片足で10秒立つ」という動作ができます。だから私は、このテストを身体全体の状態を見る一つのサインとして考えると面白いと思っています。
痛みがなくても「できない」は身体からの情報
臨床では、「痛くないから問題ありません」という考え方になりがちです。でも私は、痛みだけで身体を評価していません。例えば、以前できた動作ができなくなった。左右差が大きくなった。関節が以前より動かない。バランスが明らかに悪くなった。こういう変化も身体から出ている情報です。
今回の10秒片足立ちも同じです。症状が何もなくても、本来できるはずの年代で10秒立てないのであれば、「なぜできないんだろう?」と身体を確認する意味はあると思います。
私なら足だけではなく全身を見る
片足立ちが不安定だった場合、私は単純に「脚の筋力を鍛えましょう」で終わらせません。足関節、膝関節、股関節、骨盤、脊柱。それぞれの関節が必要な方向へ動いているか。左右差はないか。どこか一か所が動かないために、別の場所がCompensation(代償)していないかを確認します。
カイロプラクティックでは、こうした関節運動やサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)を確認します。必要であればAdjustment(アジャストメント)を行い、もう一度同じ動作をReassessment(再評価)します。
また、Micro Motion Care(MMC/マイクロモーションケア)では、関節が大きく動き始める前の非常に小さな運動領域にも注目します。つまり私が見たいのは、「10秒できた・できなかった」だけではありません。なぜできなかったのかです。
まず自分で10秒試してみてください
このテストのいいところは、特別な器具が必要ないことです。安全を確保できる場所で、転倒に十分注意しながら試してみてください。片足を少し浮かせる。腕は身体の横。正面を見る。そして10秒。
ただし、できなかったからといって怖がる必要はありません。今回の研究は51〜75歳の特定集団を対象にした観察研究で、日本人だけを調べた研究でもありません。10秒立てない人の寿命が決まるわけでもありません。
でも、「身体機能はちゃんと保てているかな?」と考えるきっかけにはなると思います。痛くなってから身体を見る。それだけではなく、本来できる動作を維持できているかを見る。私はこれも身体を整えていくうえで、とても大事な視点だと思っています。
このテーマをLIVEで話した部分
10秒片足立ちと生命リスクについて 00:08:08~
https://www.youtube.com/watch?v=cAj_FVcXfoM&t=488s
年齢別に10秒片足立ちができなかった割合について 00:09:14~
https://www.youtube.com/watch?v=cAj_FVcXfoM&t=554s
LIVE終盤で研究内容をもう一度まとめた部分 00:53:00~
https://www.youtube.com/watch?v=cAj_FVcXfoM&t=3180s
参考資料
Araujo CG, de Souza e Silva CG, Laukkanen JA, et al. Successful 10-second one-legged stance performance predicts survival in middle-aged and older individuals. British Journal of Sports Medicine. 2022;56:975-980.
https://bjsm.bmj.com/content/56/17/975
研究対象は51〜75歳の1,702人で、中央値7年間追跡されています。10秒片足立ちができなかった人では、年齢、性別、BMI、併存疾患などを調整した後も全死亡ハザード比1.84(95%CI 1.23–2.78)でした。
これは10秒片足立ちと全死亡リスクの「関連」を示した観察研究であり、片足立ちができないこと自体が死亡原因になることや、片足立ちを練習すれば死亡リスクが低下することを証明した研究ではありません。
ご相談・ご予約
「痛みはないけれど、以前よりバランスが悪くなった」「左右で片足立ちの安定感がかなり違う」「年齢とともに身体が動きにくくなってきた」。こうした変化がある場合、筋力だけではなく、足関節・膝・股関節・骨盤・脊柱を含めた身体全体の動きを確認してみる意味があります。
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