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上を向くと首から肩甲骨まで痛い|画像だけで決めず「動かした時」を見る理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「上を向くと首が痛くなり、肩甲骨の周りまで痛みが広がる。でも首を元へ戻すと、しばらくして引いていく」
2026年9月3日のLIVEで、こういう相談がありました。
このように特定の動作で症状が再現される時、私は“どこが痛いか”だけでなく、“どう動かした時に出るか”を非常に重視します。
画像検査で「神経の通り道が狭い」と言われていたとしても、その所見だけで現在の症状をすべて説明できるとは限りません。
一方で、画像を無視してよいという意味でもありません。
私がしたいのは、画像の名前と実際の症状をつなげて考えることです。
「上を向くと痛い」は重要な情報
動作によって痛みが再現されること自体が、身体を確認するための大切な手掛かりです。
首を後ろへ反らす。
その時だけ首が痛む。
肩甲骨の周囲まで痛みが広がる。
元へ戻すと徐々に軽くなる。
この情報は、私にとってかなり重要です。
なぜなら、じっとしている時の画像だけでは分からない「動いている時の身体」の情報だからです。
カイロプラクティックではMotion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)を使い、どの関節がどの方向へ動きにくいかを確認します。
もちろん、手で触れただけで病名を診断するわけではありません。
しかし、症状が出る方向と関節運動を照らし合わせることはできます。
「画像に写っている=今の痛みの原因」とは限らない
画像所見は重要ですが、現在の症状との一致を確認する必要があります。
LIVEの相談者は以前、「頚椎の神経の通り道が狭い」と説明されていました。
ここで私が気になるのは、
どの神経なのか。
どの領域に痛みやしびれがあるのか。
筋力低下はあるのか。
その症状が首の動きとどう変化するのか。
という点です。
これは画像を否定しているのではありません。
画像には画像の役割があります。
一方、身体を実際に動かした時の症状には、別の情報があります。
私はこの二つを混ぜません。
私が首と肩甲骨の痛みで最初に確認すること
私が最初から「首の何番がズレている」と決めることはありません。History、動作、触診、関節運動をつなげて考えます。
最初はHistory(ヒストリー/問診)です。
症状はいつ始まったのか。
事故や転倒はなかったか。
上を向く以外ではどうなのか。
座っている時にも痛むのか。
腕や指にしびれはないか。
握力が落ちていないか。
これまで何を受け、その後どう変化したのか。
こうした情報を整理します。
次にRange of motion、ROM(関節可動域)を確認します。
上を向く。
左右を向く。
首を傾ける。
必要に応じて肩や腕も動かします。
どの時点で症状が出るのかを確認します。
そしてStatic palpation(静的パルペーション)で周囲の緊張や過敏性を確認し、Motion palpationで実際の関節運動を確認します。
サブラクセーションは「見た目の歪み」だけでは決めない
私が臨床上重視している概念の一つが、**サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)**です。
ここでいうサブラクセーションは、レントゲン写真を見て「骨が横へズレている」と決めるものではありません。
また、首を触っただけで断定するものでもありません。
私は、
どの動作で症状が出るのか。
どの関節がその方向へ十分に参加していないのか。
そのために周囲がCompensation pattern(代償動作のパターン)を作っていないか。
こうした情報をまとめて臨床的に考えます。
必要な場合にAdjustment(アジャストメント)を行い、その後、最初と同じ動作をReassessment(再評価)します。
上を向いた時の痛みを確認したなら、施術後も同じように上を向いて確認します。
ここが大切です。
首だけではなく、肩甲骨や鎖骨まで見る理由
肩甲骨周囲まで症状が広がる場合、私は首だけを孤立させて見ません。
首と肩甲骨は筋肉や軟部組織によってつながっています。
肩甲骨は鎖骨を介して体幹とも関係します。
そのため、首を反らした時に肩甲骨周囲まで痛みが広がるからといって、「首だけを揉む」という判断にはなりません。
首。
胸椎。
肩甲骨。
鎖骨。
肩。
これらが動作の中でどう連動しているかを確認します。
このLIVEの冒頭でも私は、肩や首の不調で鎖骨が見落とされやすいという話をしました。
身体は教科書のページのように部位ごとに切れていません。
軟部組織側が残っている場合はメディセルも確認する
関節運動だけではなく、軟部組織の動きにくさが症状へ関係している可能性もあります。
LIVEではこの相談に対して、関節・骨格側だけでなく、「筋膜」と表現していた軟部組織側にも触れました。
公開記事では、私はこれを「皮膚、皮下組織、筋膜周辺などの軟部組織が、周囲と滑らかに動きにくくなっている状態」と考えて確認します。
その場合に使用するのがメディセルです。
皮膚を吸引しながら機器を動かし、軟部組織の動きやすさ、左右差、過敏性などを確認します。
関節側の動きを確認した後に軟部組織側を見る場合もあれば、状態によって順番を変えることもあります。
大切なのは、最後にもう一度同じ動きを確認することです。
しびれや筋力低下があるなら話は変わる
ここは非常に重要です。
首や肩甲骨の痛みだけではなく、
手や指のしびれ。
握力の低下。
腕や手の明らかな筋力低下。
症状の進行。
こうした神経症状がある場合は、単純な「首こり」として扱わない方が安全です。
LIVEでも、この相談者から後になって「小指のしびれ」「握力低下」という追加情報が出てきました。
この情報が加わると、身体を見る優先順位が変わります。
病名を自分で決める必要はありません。
むしろ、こういう時ほど医療機関による評価も含めて整理することが大切です。
FAQ
Q. 上を向いて首が痛いならストレッチした方がいいですか?
原因が分からない状態で、痛みを再現する方向へ強く伸ばすことは勧めません。軽い違和感と、繰り返す痛み、しびれ、筋力低下がある状態は同じではありません。
Q. MRIで異常を指摘されたら、それが原因ではないのですか?
原因である可能性はあります。ただし、画像所見と症状の場所、動作、神経学的所見が一致しているかを確認する必要があります。画像は重要ですが、それだけで身体の動きを評価するものではありません。
Q. カイロではレントゲンやMRIは必要ないのですか?
必要な場合があります。骨折、腫瘍、感染、重い神経障害などが疑われる場合は、医療機関での評価を優先します。画像と実際の動作評価は役割が違います。
この記事の結論
上を向くと首から肩甲骨まで痛む場合、「首が硬いから伸ばせばいい」と単純には考えません。
私が重要だと考えるのは、症状がどの動作で再現され、何をすると減るのかです。
画像所見があるなら、それも確認します。
同時に、History、ROM、Motion palpationから実際の関節運動を見ます。
必要に応じてサブラクセーションを考え、Adjustmentを行い、軟部組織側にはメディセルを組み合わせます。
そして同じ動作をReassessmentします。
「画像では説明を受けた。でも自分の身体がなぜこの動きで痛むのか、いまひとつ分からない」
そんな方こそ、一度動作そのものから身体を確認する意味があります。
このLIVEの一次情報
2026年9月3日
「鎖骨の肩の痛み」
首を反らすと肩甲骨周囲まで痛みが広がる相談
32:30頃から
参考資料
American College of Radiology
ACR Appropriateness Criteria: Cervical Pain or Cervical Radiculopathy
2024 Revised
頚部痛・頚椎神経根症では、神経症状やred flagsの有無によって画像検査の適応が異なることが整理されています。
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