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骨盤前傾・ストレートネックを絶対視しない|所見と症状は同じではない
執筆:長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点:銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
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「骨盤が前傾しています」
「ストレートネックです」
「反り腰です」
「左右の脚の長さが違います」
こう言われると、それが今ある痛みの原因だと思ってしまう方がいます。
でも、私は一つの所見を絶対視しません。
大切なのは「その所見があるか」ではなく、その所見と現在の症状が本当に結び付いているのかです。
LIVEでも私は、骨盤前傾やストレートネックなど複数の所見を挙げた視聴者の質問に対して、「それぞれが本当に今の症状と連動しているのか」をまず考える必要があると話しました。
「異常がある」と「それが原因である」は違います
身体を調べれば、誰にでも何らかの左右差や画像上の変化が見つかることがあります。
しかし、
見つかったもの=症状の原因
とは限りません。
これは脊椎の画像所見でも非常に重要な考え方です。
無症状者を対象とした画像研究のシステマティックレビューでは、椎間板変性、椎間板膨隆、椎間関節変性、脊椎すべりなど、さまざまな所見が症状のない人にも確認されています。しかも、その割合は年齢とともに増加します。
つまり画像に何かが写っていること自体は重要な情報ですが、画像だけを絶対視して現在の痛みを説明することもできません。
骨盤前傾だから腰痛、とは限らない
LIVEでは「骨盤前傾と言われた」という質問もありました。
ここでも私の考えは同じです。
骨盤が前傾しているという姿勢上の特徴が確認されたとしても、
「だから腰が痛い」
と、その場で原因を確定することはできません。
そもそも身体には個人差があります。
姿勢には年齢、性別、骨格形態、筋肉、生活習慣、スポーツ歴など多くの要素が関係します。
だから私は、Postural assessment(姿勢の確認)だけでサブラクセーションを決めません。
姿勢はあくまで情報の一つです。
ストレートネックも同じです
「ストレートネックだから首が痛い」
「ストレートネックだから頭痛がする」
これも私は一度分けて考えます。
ストレートネックという画像上・姿勢上の特徴があったとしても、その人に症状がなければ、それだけで「悪い状態」と決めることはできません。
逆に、きれいな頸椎カーブがあっても首が痛い人はいます。
つまり、
形だけを見ても、現在起きている機能までは分からない。
私はここを非常に重視しています。
すべり症があっても、症状がない人はいます
腰椎すべり症についても同じ考え方が必要です。
LIVEでは「すべり症だから痛いと決めるのではなく、それ以外の可能性も考える」という話をしました。
医学文献でも、変性すべり症の多くは無症状で、画像検査で偶然見つかるケースがあります。
さらに無症状者の画像研究では、すべり症の所見は年齢とともに増加し、60歳で約23%、70歳で約35%、80歳では約50%という推定値が報告されています。
もちろん、すべり症が症状と関係するケースもあります。
だから、
「すべり症は関係ない」
と決めるのも違います。
あるから原因と決めない。ないから原因ではないとも決めない。
ここでも「絶対視しない」が重要になります。
では、私は何を見るのか
私はHistory(ヒストリー/問診)から始めます。
いつから痛いのか。
何をしたときに始まったのか。
何をすると痛みが増えるのか。
何をすると軽くなるのか。
過去にどんなケガをしたのか。
画像検査では何を指摘されたのか。
これまで何を受け、その後どう変化したのか。
これらは、身体を見るための重要な手掛かりです。
次にRange of motion(ROM/関節可動域)、左右差、症状が出る動作、Compensation pattern(代償動作)を確認します。
さらにStatic palpation(静的パルペーション)とMotion palpation(モーション・パルペーション)を組み合わせます。
モーション・パルペーションでは、単に「歪んでいます」と言うのではなく、
どの関節が、どの方向へ十分に動いていないのか
を実際に関節を動かしながら確認します。
そこでサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が現在の身体の動きに関係している可能性を考えます。
サブラクセーションも一項目だけでは決めません
私がカイロプラクティックで重視しているのがサブラクセーションです。
ただし、
脚の長さが違うからサブラクセーション。
骨盤が傾いているからサブラクセーション。
姿勢が悪いからサブラクセーション。
私はそんな単純な判断はしません。
サブラクセーションは、姿勢写真や脚長差など一つの情報だけで決めるものではなく、History、動作、ROM、左右差、Static palpation、Motion palpationなどをつないで考えます。
そして必要なAdjustment(アジャストメント)を行ったら、もう一度同じ動きを確認します。
これがReassessment(再評価)です。
自分の最初の判断さえ絶対視しない。
変化がなければ、別の可能性を考える必要があります。
カイロとメディセルも使い分けます
関節側を確認してAdjustmentを行っても、軟部組織側の動きにくさが残っている場合があります。
その場合、私はメディセルを使って皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含む軟部組織側の動きやすさや左右差を確認します。
逆に、軟部組織だけにアプローチしても関節運動の制限が残っていれば、そこはカイロプラクティックの領域です。
骨格だけを絶対視しない。筋肉だけも、筋膜だけも絶対視しない。
私がカイロプラクティックとメディセルのコンビネーションを重視する理由の一つです。
「何を言われたか」より「本当に症状と関係しているか」
身体についていろいろなことを指摘されると、
「私はこんなに悪いところがある」
と思ってしまう方がいます。
でも所見の数と痛みの強さが比例するわけではありません。
LIVEでも私は、
「いろいろなものがあるから自分は悪いと思う必要はない」
という趣旨の話をしました。
必要なのは、名前を増やすことではありません。
今の症状と本当に関係しているものを絞っていくことです。
これが私の臨床で一番大切にしている部分です。
この記事の結論
骨盤前傾。
ストレートネック。
すべり症。
脚長差。
これらは身体を理解するための情報にはなります。
しかし、一つの所見を絶対視して現在の痛みの原因と決めることはできません。
私は、
「何があるか」より、「それが現在の症状とどう結び付いているのか」を確認します。
だからHistoryから始め、姿勢、動作、ROM、Static palpation、Motion palpationをつなぎ、必要なAdjustmentを行い、Reassessmentします。
これまでいろいろなことを指摘されたけれど、結局「自分の身体のどこを見ればいいのか分からない」という方は、一度ご相談ください。
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著者プロフィール
長澤一輝 D.C. プロフィール
参考資料
Brinjikji W, et al. Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations. AJNR. 2015.
PubMed Central掲載論文
Evans N, McCarthy M. Management of symptomatic degenerative low-grade lumbar spondylolisthesis. EFORT Open Reviews. 2018.
PubMed掲載論文
World Health Organization. WHO guidelines on basic training and safety in chiropractic. 2005.
WHO資料
※元動画URLが入力されていないため、時間指定動画URLは掲載していません。
動画で詳しく解説しています
この記事の内容は、YouTube LIVEでも詳しく解説しています。
症状の原因を一つに決めず、確率と身体全体から考えるという話
40分52秒〜43分08秒
自分自身もストレートネックだが症状はなく、所見と症状を単純に結びつけないという話
41分59秒〜43分08秒
