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自分の技術を絶対視しない|25年以上の臨床で大切にしていること
執筆:長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点:銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
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私はカイロプラクティックを25年以上続けています。
当然、自分の技術には自信があります。
しかし同時に、臨床家としてずっと大切にしていることがあります。
自分の技術を絶対視しないことです。
カイロプラクティックだから何でもできるわけではありません。
画像に異常があるから、それが必ず症状の原因とも限りません。
逆に、画像に大きな異常が見つからなくても、実際に身体を動かすと問題が見つかることがあります。
そして私自身の最初の判断が、いつも正しいとも限りません。
だから私は、**「何を信じるか」ではなく、「目の前の身体で実際に何が起きているか」**を確認します。
一つの病名や所見を絶対視しない
今回のLIVEでは、股関節の音、骨盤前傾、ストレートネック、すべり症など、さまざまな話が出ました。
一見すると別々の話ですが、私の中では全部つながっています。
共通しているのは、
一つの所見だけで身体全体を説明しない
ということです。
例えば股関節がポキポキ鳴る。
それだけなら無症状の人にも起こります。医学文献でも、無症状のSnapping hipは一般人口の約5〜10%にみられると報告されています。
腰椎の画像に変化がある場合も同じです。
無症状者を対象とした研究では、椎間板変性や椎間板膨隆、すべり症などが症状のない人にも確認されています。
だから、
「これがあるから痛い」
と一つの所見を絶対視することに、私は慎重です。
カイロプラクティックそのものも絶対視しない
ここは誤解されたくないところです。
私は米国のCleveland Chiropractic Collegeで学び、1999年にDoctor of Chiropractic(D.C.)の専門職学位を取得しました。
それから25年以上、臨床の中心にカイロプラクティックを置いています。
サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)を捉え、関節運動、骨格の連動、代償動作を確認することは、今でも私の臨床思想の中心です。
しかし、
カイロプラクティックを絶対視することと、カイロプラクティックに自信を持つことは別です。
骨折が疑われるなら医療機関で画像検査が必要です。
手術後のボルトを抜くべきかという質問なら、それは手術を担当した医師へ確認すべき領域です。
実際、今回のLIVEでも手術後のボルトについて質問された際、私は「自分が答える領域ではないので、手術をした先生に聞いた方がいい」と答えています。
専門家として大切なのは、何でも答えることではありません。
自分が見るべき領域と、自分以外の専門家へ任せるべき領域を分けることです。
私は「診断名」より先に、その人を見ます
例えば、
「ヘルニアがあります」
「すべり症があります」
「ストレートネックです」
と言われた人が来たとします。
もちろん、その情報は重要です。
私は無視しません。
しかし、それだけで施術内容を決めることもしません。
History(ヒストリー/問診)で、いつから、何をすると、どのような症状が出るのかを確認します。
Range of motion(ROM/関節可動域)を確認します。
Static palpation(静的パルペーション)で身体に触れます。
Motion palpation(モーション・パルペーション)で関節を実際に動かします。
どの関節が、どの方向へ動きにくいのか。
その結果として、別の場所がCompensation pattern(代償動作)を起こしていないか。
そこまで見て、初めて施術内容を考えます。
Adjustmentをして終わりではありません
サブラクセーションが現在の身体の状態に関係している可能性があると判断すれば、Adjustment(アジャストメント)を行います。
しかし、Adjustmentをしたから正解だったとは考えません。
その後に、
Reassessment(再評価)
を行います。
最初に痛かった動きはどうなったのか。
ROMは変化したのか。
左右差はどうなったのか。
本人の感覚はどうなのか。
ここをもう一度確認します。
変化が乏しければ、
「自分の最初の判断が違っていた可能性はないか」
と考えます。
つまり私は、自分自身の臨床判断も絶対視しません。
これは25年以上臨床を続けてきたからこそ、より強く意識するようになった部分です。
カイロだけを絶対視しないから、メディセルを使う
私の臨床でメディセルが大きな柱になっている理由も同じです。
カイロプラクティックでは関節の動き、骨格の連動、サブラクセーションを確認できます。
しかし身体は骨格だけではありません。
皮膚、皮下組織、筋膜周辺などの軟部組織も一緒に動いています。
そこで私はメディセルを使い、軟部組織側の動きやすさ、左右差、過敏性などを確認します。
LIVEでも私は、「骨格を動かす以外に有効な手段を持っているか」という話をしました。
これは私にとって非常に重要です。
骨格が専門だから、何でも骨格で説明する。
筋膜を扱っているから、何でも筋膜で説明する。
私はどちらにもしたくありません。
カイロを絶対視しない。メディセルも絶対視しない。
目の前の身体を見て、必要なものを使います。
「1回で変わらない=間違っている」とも限らない
今回のLIVEでは、「1回施術を受けたけれどあまり変わらなかった」という質問もありました。
私は、
1回だけで判断するのは少し早い場合がある
と答えています。
もちろん、何十回も通えばいいという話ではありません。
時間もお金もかかります。
だから経過を見ます。
前回から何が変わったのか。
変わっていないのか。
良くなったものと残っているものは何か。
その情報を次の施術へ使います。
同時に、私自身もLIVEで「全部が全部良くなるわけではない」と話しています。
ここも非常に大切です。
専門家が自分の技術を絶対視すると、
「良くならないのは患者さんが悪い」
という方向へ行きかねません。
逆に、患者さん側が一つの方法を絶対視すると、
「これで良くならないならもう何をやっても無理だ」
となってしまいます。
どちらも違います。
25年以上やって分かったのは「引き出し」の重要性です
臨床経験が長くなれば、技術は増えます。
でも私が今重要だと感じているのは、技術の数を増やすことだけではありません。
一つの考え方で説明できなかったときに、別の可能性を考えられることです。
関節なのか。
軟部組織なのか。
過去の外傷なのか。
身体の使い方なのか。
睡眠や回復状態まで関係しているのか。
あるいは、そもそもカイロプラクティックの領域ではないのか。
自分の得意技に患者さんを当てはめるのではなく、その人の状態に合わせて自分の引き出しを選ぶ。
私はそれを臨床家として非常に大切にしています。
この記事の結論
私の臨床思想を一言で表すなら、
「自信は持つ。でも絶対視しない」
です。
画像所見を絶対視しない。
痛い場所を絶対視しない。
骨格だけを絶対視しない。
筋肉や筋膜だけも絶対視しない。
そして、カイロプラクティックそのものさえ絶対視しない。
その代わりに、History、動作、触診、Motion palpation、Adjustment、Reassessmentをつなぎ、実際の身体の変化を確認します。
必要ならメディセルを組み合わせます。
必要なら医療機関への相談を優先します。
「自分の技術で何ができるか」より、「この人に今、何が必要なのか」を考える。
これが、米国でカイロプラクティックを学び、25年以上臨床を続けてきた現在の私の基本的な考え方です。
これまでさまざまな診断名や身体の問題を指摘されたけれど、「結局、自分の場合は何を見ればいいのか分からない」という方は、一度ご相談ください。
著者プロフィール
長澤一輝 D.C. プロフィール
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参考資料
Brinjikji W, et al. Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations. AJNR. 2015.
PubMed Central掲載論文
Snapping Hip Syndrome: Pathoanatomy, Diagnosis, Nonoperative Therapy, and Current Concepts in Operative Management. 2023.
PubMed掲載論文
World Health Organization. WHO guidelines on basic training and safety in chiropractic. 2005.
WHO資料
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