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肋骨締めでウエストは細くなる?「肋骨を閉じる」という説明をD.C.が解説
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「肋骨を締めればウエストが細くなる」「肋骨を閉じるトレーニングで体型が変わる」。
美容やエクササイズの世界では、こうした表現を見かけます。
先に私の考えを言います。
外から押したり縛ったり、特定の運動をしたりすることで、肋骨そのものを恒常的に内側へ押し込み、胸郭を物理的に小さくするという説明には無理があります。
ただし、ここは言葉を分ける必要があります。
呼吸によって肋骨は動きます。姿勢や筋肉の使い方によって胸郭の見え方も変わります。体脂肪や筋肉量によってウエストラインも変わります。
つまり、「肋骨はまったく動かない」のではありません。
問題は、呼吸や姿勢による肋骨の動きと、「骨を締めて細くする」という話を同じものとして扱っていることです。
肋骨は固定された骨ではなく、呼吸のたびに動いている
肋骨は単体で宙に浮いている骨ではありません。
背骨のうち胸椎と関節を作り、前方では胸骨や肋軟骨との関係を持ち、肋骨と肋骨の間には肋間筋があります。
そして大きな役割の一つが呼吸です。
深く息を吸うと、肋骨は上方・外側へ動き、胸郭の前後径や横径が広がります。
LIVEでは、私はこれを「バケツの取っ手」に例えました。
取っ手を持ち上げるように肋骨が動くことで胸郭が広がる。この動きは呼吸生理学でもbucket-handle motionなどと表現されます。特に下部肋骨では、吸気に伴って横方向の胸郭径を広げる動きがあります。
一方、息を吐けば肋骨は戻ります。
ここで重要なのは、これは正常な関節運動だということです。
「動く」ことと「骨そのものを細く締める」ことは別です。
「肋骨を閉じる」と「呼吸で肋骨が動く」は同じではない
美容系の情報では、「開いた肋骨を閉じる」という言葉がかなり広い意味で使われています。
私はこの言い方に違和感があります。
もし意味しているものが、
呼吸の仕方を変える
姿勢を変える
腹部や背部の筋肉を使えるようにする
過度に胸を張った姿勢を変える
ということであれば、見た目が変化する可能性はあります。
しかし、それを「肋骨という骨を押し込んで狭くした」と説明するのは別の話です。
肋骨は胸椎との関節を中心に呼吸運動を行います。胸郭は肺や心臓などを囲う構造でもあり、外から押せば好きな位置へ恒常的に変形させられるものではありません。
ここが大事です。
見た目が変わったことと、骨そのものが「閉じた」ことを混同してはいけません。
なぜ「肋骨が締まったように見える」ことがあるのか
では、写真で本当に細く見える人がいるのはなぜでしょう。
これは十分あり得ます。
私はまず、肋骨だけではなく身体全体を考えます。
体脂肪が減れば腹部や脇腹は細く見えます。
腹部・背部の筋肉の使い方が変われば、立ち姿も変わります。
肩甲帯や胸椎のポジションが変われば、胸郭の見え方も変わります。
呼吸時に必要以上に胸を反らせていた人が、自然な呼吸へ変われば、「肋骨の張り出しが減った」と感じることもあるでしょう。
しかし、これらはすべて「肋骨を力ずくで閉じた」という説明とは違います。
私なら、結果だけを見て原因を決めません。
胸郭を見るなら、私は胸椎と肋骨の動きも確認する
肋骨には胸椎との関節があります。
そのためカイロプラクティックで胸郭を見る場合、私は見た目だけを見て「肋骨が開いています」と判断することはありません。
History(ヒストリー/問診)で呼吸時の違和感、背中や胸の痛み、過去のケガ、姿勢、仕事や運動歴を確認します。
次にRange of motion(ROM/可動域)や身体全体の動きを見ます。
そしてMotion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)で、胸椎や肋骨がどの方向へ動きにくいのかを確認します。
私が考えるサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)は、「骨が横へずれている」という単純な意味ではありません。
本来参加するべき関節運動へ十分に参加できず、周囲が代わりに動いている可能性まで含めて考えます。
必要があれば、確認した方向へAdjustment(アジャストメント)を行い、その後に呼吸や身体の動きをReassessment(再評価)します。
これが「肋骨を閉める」こととはまったく違う、カイロプラクティックで胸郭を見る考え方です。
ウエストを細く見せたいなら、骨を押すより現実的な方法がある
LIVEでもかなり率直に話しましたが、見た目を変えたいのであれば、私は骨を押し込む方向には行きません。
体脂肪率を調整する。
腹部だけでなく背中や臀部を含めて筋肉をつける。
姿勢を確認する。
呼吸時に必要以上の力みがないかを見る。
こうした方がはるかに現実的です。
人間のシルエットは「差」で見えます。
背部や臀部に適切な筋量があり、腹部が過剰に大きくなければ、相対的にウエストは細く見えます。
肋骨の形そのものには当然個人差があります。
だからこそ、「あなたは肋骨が開いているから太く見える」と一律に決めることにも私は反対です。
強く縛る、押す、自己矯正は勧めません
ウエストを細くしたいという理由で、胸郭を強く締め付け続けたり、痛みを我慢しながら肋骨を押したりすることは勧めません。
呼吸時に痛みがある、胸部に強い痛みがある、息苦しい、外傷後から痛む、突然症状が出たという場合は、美容目的のセルフケアより先に医療機関へ相談してください。
美容の問題と、身体の異常を一緒にしてはいけません。
よくある質問
Q. ドローインや呼吸トレーニングで肋骨は閉じませんか?
呼吸に伴って胸郭の位置や大きさは変化しますし、腹部の筋活動や姿勢が変われば見た目が変わることはあります。ただし、それを「骨格そのものが恒常的に小さくなった」と同じ意味にはできません。
Q. 肋骨が左右で違って見えるのは異常ですか?
必ずしも異常とは限りません。身体にはもともと左右差があります。一方で、過去のケガ、胸椎や肋骨の動き、姿勢などが関係しているケースもあります。見た目だけでは判断できません。
Q. カイロプラクティックでは肋骨も確認しますか?
必要がある場合は確認します。胸椎との関節運動、呼吸に伴う動き、左右差、周囲の代償動作などを確認します。「肋骨を細くする」ことが目的ではありません。
この記事の結論
肋骨は呼吸によって動く関節構造です。
しかし、「肋骨を外から押して閉じればウエストが恒常的に細くなる」という説明と、正常な呼吸運動は別物です。
見た目を変えるのであれば、体脂肪、筋量、姿勢、胸椎や肋骨の動き、呼吸の使い方を分けて考える方が合理的です。
そして胸郭の動きそのものに問題があるのかを知りたい場合、私は見た目だけではなく、胸椎・肋骨の関節運動と身体全体の連動を確認します。
動画で話している箇所
「肋骨を閉じる」という考え方について
2分12秒頃〜7分35秒頃
参考資料
NCBI MedGen「Bucket handle rib motion」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/medgen/736497
NCBI Bookshelf「Anatomy, Thorax, Wall Movements」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK526023
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