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腰痛は内臓から来ることもある?|動かすと痛いだけでは見分けられない理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「腰や背中が痛い時、筋肉や骨格から来ているのか、内臓から来ているのか、自分で見分けられますか?」
先に答えると、ある程度の傾向はありますが、一般の方が痛み方だけで完全に見分けるのは難しいです。
動かした時に痛みが変化するなら筋肉や関節など運動器の可能性を考えやすく、何もしていなくても持続する痛みでは別の原因も考えます。しかし、これはあくまで入口です。内臓由来の痛みでも動作で変わることがありますし、筋骨格系の痛みでも安静時に痛むことがあります。
2026年8月29日のLIVEでは、この「腰痛を最初から骨格の問題と決めない」という話をしました。
腰痛=背骨の問題とは限らない
腰痛という言葉は症状の名前です。
原因の名前ではありません。
腰を構成する筋肉。
椎間関節。
椎間板。
仙腸関節。
骨。
神経。
こうした筋骨格系の問題だけでなく、腹部や骨盤内の臓器からの関連痛として腰に痛みを感じる場合もあります。
2024年の腰痛の鑑別に関するレビューでも、腰痛の原因は脊椎そのものの問題、全身性疾患、さらに内臓など遠隔部位からの関連痛に分けて考える必要があると整理されています。
参考資料
Common differential diagnosis of low back pain in contemporary medical practice: a narrative review
Frontiers in Medicine, 2024
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38379555/
私はカイロプラクティックをしていますが、だからといって腰痛を全部「骨格のズレ」とは考えません。
そこを間違えると危険です。
一番分かりやすい入口は「動きで変わるか」
LIVEでは、最初の大きな分け方として、
筋肉・関節・骨格の問題では動かした時に痛みが変化しやすい。
内臓由来では、じっとしていても痛む場合がある。
という話をしました。
元LIVE・筋骨格系と内臓系の大きな分け方
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=912s
ただし、LIVEでもすぐに「それだけでは決められない」と続けています。
たとえば筋骨格系の痛みでも、炎症や強いGuarding(身体を守るための筋緊張)があれば寝ていても痛むことがあります。
反対に内臓も身体の動きや腹圧などによって刺激され、動作に伴って症状が変化する場合があります。
だから、
動けば痛い=骨格。
安静でも痛い=内臓。
という二択にはできません。
これはあくまで最初の手掛かりです。
本当に重要なのは「痛みが始まった経緯」
私が腰痛を見る時、施術台へ寝てもらってから始めるわけではありません。
History(ヒストリー/問診)が最初です。
いつから痛いのか。
何をしている時に始まったのか。
重い物を持ったのか。
転倒したのか。
朝起きた時から突然痛かったのか。
発熱はないか。
食事との関係はないか。
排尿や排便に変化はないか。
過去にどんな病気やケガがあったのか。
LIVEでも「何か重い物を持ちましたか?」というような発症の経緯から、物理的な負荷で説明できるかをまず考えるという話をしました。
元LIVE・Historyと腰痛の見方
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1039s
ヒストリーは診断そのものではありません。
しかし、どこを次に確認すべきかを決める重要な手掛かりになります。
場所だけで内臓を決めるのも危険
「この位置が痛いから腎臓」
「右だから肝臓」
という判断もしません。
内臓痛では、痛みの発生源と本人が痛みを感じる場所が一致しないことがあります。
これをreferred pain(関連痛)と呼びます。
腹部・骨盤内の臓器の問題が腰や背中の痛みとして感じられる場合もあります。
参考資料
Visceral pain, mechanisms, and implications in musculoskeletal clinical practice
PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34126503/
LIVEでは女性であれば骨盤内臓器、男性では前立腺など、また腰の上部では腎臓なども鑑別の中へ入るという例を出しました。
元LIVE・腰痛と内臓の鑑別について
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1039s
これは「腰痛ならそれらの病気を疑え」という意味ではありません。
ほとんどの腰痛を恐ろしい内臓疾患として考える必要もありません。
ただし、いつもの腰痛として説明しにくい情報があれば、カイロだけで完結させてはいけないということです。
Dr.Kazは何を確認するか
ヒストリーで筋骨格系の問題が考えやすく、医療機関を優先すべき情報が見当たらなければ、身体の動きを確認します。
前へ曲げる。
後ろへ反らす。
左右へ倒す。
身体をひねる。
歩く。
そこでROM(関節可動域)、左右差、Compensation pattern(代償動作のパターン)を見ます。
次にStatic palpation(静的パルペーション/静止した状態で行う触診)で筋肉や軟部組織の張り、左右差などを確認します。
Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)では、腰椎、骨盤、仙腸関節などがどの方向へ動きにくいかを確認します。
そこでサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)が現在の動作へ関係していると考えた場合には、必要な方向へAdjustment(アジャストメント)を行います。
そして最初と同じ動作をReassessment(再評価)します。
ここがカイロプラクティックで確認できる領域です。
しかし、そこで説明できない痛み方をしたら話は変わります。
「いつもの腰痛と違う」が重要な情報になる
私が注意するのは、身体を確認した時に話がつながらない場合です。
動作と痛みの関係がはっきりしない。
関節を動かしても症状がほとんど変化しない。
これまで経験した腰痛と明らかに違う。
発熱がある。
原因不明の体重減少がある。
夜間に強い痛みが続く。
排尿・排便の異常がある。
脚の力が急に落ちた。
こうした情報があれば、「骨格だろう」と押し切るのではなく、医療機関で確認してもらうことを優先します。
LIVEでも私は、来院された方の話が筋骨格系の説明と合わない場合には、「一度病院へ行って検査してください」と案内するという話をしています。
元LIVE・医療機関へつなぐ判断について
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1104s
カイロプラクティックは「何でも自分で見る」ためのものではない
ここは大事です。
私はD.C.として米国でカイロプラクティックを学びました。
しかし日本では医師ではありません。
病気の診断をすることが私の仕事ではありません。
だからこそ、
カイロプラクティックで確認できる問題。
医療機関で確認すべき問題。
この線引きを大切にしています。
LIVEではオンライン上で身体を直接見ていない相談について、「私ができるのは精度の高い推測までで、最終的には必要な検査を受けた方がいい」と説明しました。
元LIVE・オンライン相談と医療検査について
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1171s
これは逃げではありません。
むしろ身体を見るうえで必要な判断です。
メディセルを使う場合も、まず安全確認が先
腰痛や背部痛で、筋肉や皮膚・皮下組織・筋膜周辺など軟部組織の動きにくさが関係すると考える場合には、私はメディセルを組み合わせることがあります。
カイロプラクティックでは関節・骨格側。
メディセルでは軟部組織側。
両方を確認し、必要な順番で行った後に動きを再評価します。
ただし、原因が分からない強い腰痛へ「とりあえずメディセル」という使い方はしません。
まず、カイロやメディセルを行ってよい状態なのかを見る。
ここが先です。
FAQ
動くと痛いなら内臓ではありませんか?
そうとは限りません。筋骨格系の痛みでは動作との関係が出やすい傾向がありますが、内臓由来でも動きによって症状が変化する場合があります。
内臓からの腰痛はどんな感じですか?
一つの痛み方では決められません。安静時にも続く、身体を動かしても一定、発熱や排尿・消化器症状など別の変化を伴う場合には医療機関での確認が必要です。
レントゲンやMRIで問題なしならカイロで見てもらえますか?
画像で重大な構造異常がないことと、実際の関節運動に左右差がないことは同じではありません。医療上の問題が除外されている場合には、関節運動や代償動作を別の視点から確認する意味があります。
最初から病院へ行った方がいいですか?
強い痛み、発熱、外傷、排尿・排便異常、急な筋力低下、原因不明の体重減少などがある場合は、先に医療機関へ相談してください。
この記事の結論
腰痛は、腰に痛みを感じるという症状です。
原因が腰だけにあるとは限りません。
私は、
発症の経緯。
動作との関係。
痛みの場所。
随伴症状。
過去の経過。
実際の関節運動。
これらをつなぎます。
筋骨格系として説明できればカイロプラクティックで関節運動を確認する。
説明できない情報があれば医療機関へつなぐ。
「何でも骨格のズレ」と決めないことも、身体をきちんと見るために必要なことです。
Dr.Kazへの相談・予約
施術案内
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著者プロフィール
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年8月29日
動画タイトル
顔の左右差、骨格のズレだけが原因?
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs
筋骨格系と内臓系の痛みの大きな分け方
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=912s
腰痛の鑑別には専門知識が必要という話
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=974s
Historyから原因を絞る考え方
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1039s
医療機関へつなぐ判断について
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1104s
オンライン相談では推測にとどめる理由
https://www.youtube.com/watch?v=0B2iIu-mmHs&t=1171s
参考資料
Common differential diagnosis of low back pain in contemporary medical practice: a narrative review
Frontiers in Medicine, 2024
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38379555/
Visceral pain, mechanisms, and implications in musculoskeletal clinical practice
PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34126503/
The differential diagnosis of low back pain: a primer on the evolving paradigm
PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25395112/
