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肩こりの枕選び|「高い・低い」より先に寝る向きを考えてほしい
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「肩こりがあるから枕を変えたい」「自分に合う枕の高さを知りたい」という質問は、本当によく受けます。
先に僕の考えを言うと、枕は「何cmが正解」と一律には決められません。
なぜなら、仰向けと横向きでは、頭を支えるために必要な高さがそもそも違うからです。さらに僕が重要だと思っているのは、現在の首や背中の状態をそのまま基準にして、高価な枕を作れば本当にいいのか、という点です。
僕は枕だけを見るのではなく、まず身体そのものを見ます。肩こりが続いているなら、枕を買い替える前に「なぜ首や肩へ負担が集まっているのか」を確認した方がいいケースがあります。2026年8月8日のLIVEでも、この考え方をかなり詳しく話しました。
仰向けと横向きでは必要な枕の高さが違う
仰向けと横向きでは、頭とマットレスの間にできる空間が違います。だから、同じ高さの枕が両方の姿勢で完全に合うとは限りません。
仰向けでは、頭の後ろからマットレスまでの距離を考えます。
ところが横向きになると、肩幅があります。耳からマットレスまでの距離が一気に大きくなるわけです。
LIVEでも話しましたが、横向きになった時に無意識に枕を折って高さを作っていた方がいました。
これは身体が「この高さの方が楽だ」と感じて自然にやっている可能性があります。
反対に、横向きなのに低すぎる枕を使えば、頭がマットレス側へ落ち、首が横へ傾いた状態になりやすい。仰向けで同じ高さを使えば、今度は頭が持ち上がりすぎる場合があります。
実際、枕の高さは頸部の位置や頭頸部へかかる圧力に影響し、枕の種類によって起床時の首の痛みが変化した研究もあります。ただし、研究全体を見ても「この形、この高さなら全員に正解」というほど単純ではありません。
だから僕は、
「肩こりには3cmの枕」
「ストレートネックならこの形」
のように数字だけで決める考え方には賛成しません。
寝返りもしますし、身体の形も肩幅も違うからです。
高価なオーダー枕を作る前に、身体の基準を見たい
今回この話をしたきっかけは、海外から来られた方が、日本でカスタマイズ枕を作りたいと話されたことでした。
身体の形を計測して、自分に合わせて枕を作る。考え方としては理解できます。
ただし僕が気になるのは、その時点の身体を「正しい基準」として測定していいのかということです。
例えば、背中が丸くなり、頭が前方へ出ている状態だったとします。
その形にぴったり合わせた枕を作れば、その瞬間には楽かもしれません。でも僕なら、その前に、
「なぜ頭が前へ出ているのか」
「胸椎はどう動いているのか」
「頸椎はどの方向へ動きにくいのか」
を確認します。
ここで僕が見るのが、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)です。
これは骨が大きく外れているという意味ではありません。
関節が本来参加すべき方向の動きへ十分に参加できず、別の関節や筋肉が代償している可能性を、History(ヒストリー/問診)、姿勢、Range of motion(ROM/関節可動域)、Motion palpation(モーション・パルペーション)などをつないで考えます。
つまり、僕にとって枕は「身体を支える道具」であって、身体そのものを確認する代わりにはなりません。
肩こりがある時、Dr.Kazは首だけを見ない
肩こりの相談でも、僕が最初から枕だけを問題にすることはありません。
いつ肩がつらいのか。
朝起きた直後なのか。
仕事中に悪くなるのか。
首を向いた時に左右差があるのか。
背中が動いているのか。
腕を上げた時に肩甲骨や胸郭がどう動くのか。
こうした情報をHistory(ヒストリー/問診)と動作確認で整理します。
そのうえでMotion palpationを行い、頸椎だけでなく胸椎なども含め、どの関節がどの方向へ動きにくいのかを確認します。
必要であれば方向と力を選んでAdjustment(アジャストメント)を行い、同じ動きをReassessment(再評価)します。
ここまでやって初めて、
「枕の影響が大きそうなのか」
「起きている16時間の姿勢や身体の使い方の方が問題なのか」
を考えやすくなるわけです。
カイロ×メディセルで、関節と軟部組織の両方を見る
肩こりでは、関節だけで説明できないこともあります。
首、肩、肩甲骨周辺には筋肉だけでなく、皮膚、皮下組織、筋膜周辺など多くの軟部組織があります。
当院で僕が最も重視しているのが、カイロプラクティックとメディセルのコンビネーションです。
カイロプラクティックでは、関節の動き、骨格の連動、左右差、代償動作を確認します。
メディセルでは、皮膚を吸引しながら機器を動かし、皮膚・皮下組織・筋膜周辺を含む軟部組織の滑走性や左右差を確認します。
関節側を調整して動きが変わっても、肩周辺に突っ張りが残ることがあります。
反対に、軟部組織だけを緩めても、関節の動きにくさが残っていれば、同じ場所へ負担が集まる場合があります。
だから僕は「骨格だけ」「筋膜だけ」と分けません。
必要な順番で両方を確認して、最後にもう一度動いてもらいます。
ここが、当院のカイロとメディセルを組み合わせる大きな特徴です。
枕は大事。でも万能ではありません
枕によって首の痛みや起床時症状が軽くなる人がいることは、研究でも報告されています。ですから僕も「枕なんて何でもいい」と言っているわけではありません。
僕自身も枕は使っています。
ただ、枕はあくまで寝ている時間に使うものです。
肩こりが続いている人が、高価な枕を次々と探しているなら、一度発想を変えてみてもいいと思います。
身体は寝ている時間だけでなく、起きて仕事をしている時間も、歩いている時間も、365日使い続けています。
僕なら、道具だけを交換し続けるより、自分の首・背中・肩がどう動いているのかを一度確認します。
そのうえで枕を選ぶ。
この順番の方が納得できると思っています。
FAQ
横向き寝なら高い枕の方がいいですか?
横向きでは肩幅があるため、仰向けより高さが必要になる傾向があります。ただし体格、肩幅、マットレスの沈み込み、枕の硬さでも変わるため「何cm」と一律には決められません。
オーダー枕なら肩こりは解決しますか?
合う枕によって起床時の症状が楽になる人はいますが、肩こりの原因すべてを枕だけで説明することはできません。日中も肩こりが続く場合は、首・背中・肩の動きを確認する価値があります。
首を支える部分が盛り上がった枕はどうですか?
形状だけで良し悪しは決まりません。頭部の高さ、寝る姿勢、身体の形との組み合わせで頸部の位置が変わるため、自分が楽かどうかだけでなく、起床時の症状も含めて判断してください。
肩こりで受けるなら、カイロとメディセルのどちらですか?
僕は最初から一方に決めません。関節の動き、軟部組織の状態、左右差を確認して、カイロ、メディセル、または両方を選びます。
この記事の結論
枕は肩こりや首の不調へ影響する可能性があります。
ただし、「肩こりだから高級枕」という順番ではなく、
・仰向けか横向きか
・現在の首や背中はどう動いているか
・肩こりが朝だけなのか一日中なのか
・関節側と軟部組織側のどちらに問題が残っているのか
ここまで見てから枕を考える。
それが僕の考え方です。
肩こりが続き、何度枕を変えても同じことを繰り返している方は、一度「枕ではなく身体側」を確認してみてください。
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一次情報
2026年8月8日 YouTubeライブ「肩こりと枕」
主な該当箇所 2分23秒〜12分05秒/19分37秒〜21分48秒
https://www.youtube.com/watch?v=6R-lMIUL8qw&t=143s
参考資料
Changes in neck pain and somatic symptoms before and after the adjustment of the pillow height
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9889209/
Effectiveness of a Spring Pillow Versus Education in Chronic Nonspecific Neck Pain
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30939188/
Effect of pillow height on the biomechanics of the head-neck complex
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5012320/
