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腰痛が5回受けても変わらないなら|施術の「方程式」を見直す
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
腰痛に対して同じ施術を何回も受けている。それでも、ほとんど変化がない。
この場合、「自分の身体が悪すぎる」「もっと強い施術が必要だ」と考える前に、施術の方程式を見直す必要があります。
私は、問診、検査、臨床上の仮説、施術方法、施術後の再評価のどこかが違えば、最終的な答えも変わると考えています。
変化が出ない時に必要なのは、同じことを強く繰り返すことではありません。何を根拠にその方法を選んだのかを、一段ずつ戻って確認することです。
目次
正しい技術でも、前提が違えば結果は出ません
数学の方程式では、途中の数字を一つ間違えれば、最後の答えも変わります。
身体を見る仕事も同じです。
腰が痛いから腰を揉む。骨盤が傾いて見えるから骨盤を矯正する。梨状筋が硬いからストレッチする。
一つ一つの方法が悪いとは限りません。
しかし、その場所がなぜ硬くなったのか、なぜ片側だけに負担が集まったのかを確認せず、見つけたものへそのまま施術を当て込めば、答えを外す可能性があります。
施術の質は、技術の派手さだけでは決まりません。
何を聞き、何を確認し、なぜその方法を選び、何を再評価したかで決まります。
第1段階はHistoryです
私が最初に重視するのは、History(ヒストリー/問診)です。
ヒストリーは雑談ではありません。身体を確認する方向を決めるための手掛かりです。
腰痛であれば、次の情報を整理します。
- いつ、何をして始まったのか
- 初めての腰痛か、何度も繰り返しているか
- どの動作で強くなるか
- どの姿勢で軽くなるか
- 脚の痛み、しびれ、筋力低下はあるか
- 過去の外傷、手術、画像検査はあるか
- 仕事や運転、スポーツで何を繰り返しているか
- これまで何を受け、どのくらい変化したか
たとえば長時間の運転で股関節が外へ向く方と、重い物を持って急に痛めた方では、確認する順番が違います。
問診で方向を誤れば、その後に精度の高い技術を使っても、狙う場所が違うかもしれません。
第2段階は動作と触診をつなげることです
腰痛がある場所を押して痛い。それだけでは、原因を絞り込めません。
Static palpation(静的パルペーション/静止した状態での触診)では、筋肉や軟部組織の緊張、左右差、過敏性などを確認します。
Motion palpation(モーション・パルペーション)では、関節を実際に動かしながら、どの関節がどの方向へ動きにくいか、隣の関節が代わりに動いていないかを確認します。
さらに立つ、座る、前へ曲げる、反らす、歩くなど、症状が実際に出る動作を見ます。
ここで初めて、硬い筋肉が主な問題なのか、関節が十分に動かない結果として筋肉がGuardingしているのか、軟部組織の滑走性低下が動きを妨げているのかを考えられます。
Guardingとは、身体を守るために筋肉が緊張し、動きを制限している状態です。
必要があって固めている筋肉を、理由を確認せず強く緩めれば、身体は再びその場所を固める可能性があります。
第3段階は方法を選ぶことです
検査の後に、初めて方法を選びます。
関節が本来参加すべき動きへ十分に参加できず、周囲が補っていると考えた場合は、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)として確認します。
必要であれば、確認した関節と方向へAdjustment(アジャストメント)を行います。
アジャストメントは、骨を無理に押し込むことでも、音を鳴らすことでもありません。
一方、皮膚、皮下組織、筋膜周辺の滑走性低下が、動作時の突っ張りや左右差へ関係していると考えた場合は、メディセルを検討します。
ここで大切なのは、最初から「カイロだけ」「メディセルだけ」と方法を決めないことです。
カイロとメディセルは足し算ではありません
カイロとメディセルを両方行えば、自動的に二倍の結果が出るわけではありません。
大切なのは、役割を分けることです。
カイロプラクティックでは、関節運動、サブラクセーション、骨格の連動、代償動作を確認します。
メディセルでは、皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含む軟部組織の滑走性、左右差、過敏性を確認します。
たとえばアジャストメント後に腰の可動域は変わったが、お尻の突っ張りが残る。その時は軟部組織側を確認する意味があります。
反対に、メディセル後に皮膚やお尻周辺の動きは変わったが、腰椎や骨盤の関節が動作へ参加していない。その場合は関節側の確認が必要です。
カイロとメディセルは、ただ並べるメニューではありません。
どちらを先に行い、どこへ使用し、何を再評価するかまで含めたコンビネーションです。当院の公式サイトでも、二つの施術を組み合わせることを主要な特徴として案内しています。
第4段階はReassessmentです
施術を行ったら、最初と同じ動作をReassessment(再評価)します。
腰を曲げた時の範囲は変わったか。
立ち上がりや歩行は変わったか。
左右差は小さくなったか。
本人が感じる痛み、しびれ、突っ張りはどう変わったか。
ここを確認しなければ、行った施術と身体の変化を結び付けられません。
変化がなければ、力を強くするのではなく、仮説を見直します。
ヒストリーで見落としたことはないか。
検査結果を正しく解釈したか。
関節だけを見て、軟部組織を見落としていないか。
筋膜だけを追って、サブラクセーションを見落としていないか。
この改善作業を繰り返すことが臨床です。
何回で判断すればよいのか
ライブでは、私自身の目標として、最初の数回で方向性を確認し、全体として6回程度を一つの目安にすることがあるとお話ししました。
ただし、これはすべての方が6回で変わるという保証ではありません。
急性か慢性か、神経症状があるか、画像上の問題があるか、仕事や生活で負担を避けられるかによって異なります。
私が重視するのは、回数そのものより、毎回の判断が更新されているかです。
1回目と5回目で何も変わっていないのに、説明も方法も同じ。その状態は見直す必要があります。
反対に、施術者が経過を聞き、検査を追加し、方法や頻度を調整しながら変化を追っているなら、継続する理由を確認できます。
NICEでは、腰痛や坐骨神経痛への徒手療法は、運動などを含むケアの一部として検討するよう勧めています。NCCIHも、脊椎マニピュレーションによる腰痛の改善は平均的には小さいとし、既往歴の確認と安全な評価の重要性を示しています。
方法を一つに固定せず、状態に合わせて調整することが重要です。
よくある質問
一回で変化がなければ、その施術は合っていませんか?
一回で判断できない状態もあります。ただし、何を目的に行い、次回まで何を観察するのかは説明されるべきです。変化がない場合に、どこを見直すかが重要です。
強い施術の方が早く変わりますか?
力の強さと結果は比例しません。身体がGuardingしている時に強い刺激を加えると、さらに防御的に固まる場合があります。必要な方向と刺激量を選ぶことが大切です。
回数券を先に購入する必要がありますか?
納得できなければ、その場で決める必要はありません。現在の状態、計画、総額、次回が必要な理由を確認してから判断してください。
この記事の結論
腰痛が何回受けても変わらない時、必要なのは同じ施術を強く繰り返すことではありません。
History、動作確認、Static palpation、Motion palpation、施術方法、Reassessmentのどこを見直すべきかを考えます。
さらに関節側だけ、筋膜側だけへ偏らず、カイロとメディセルを必要な順番で組み合わせる。
これが、私が考える施術の方程式です。
Dr.Kazへの相談・予約
次のような方はご相談ください。
- 同じ施術を繰り返しているが変化を感じない方
- なぜその施術を行うのか説明を受けていない方
- 関節と筋膜周辺の両方を確認してほしい方
- 施術後に動作を再評価してほしい方
- 必要な回数や頻度を状態から考えてほしい方
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年7月21日
元動画
腰痛、梨状筋だけでは解決しない
施術の方程式についての該当部分
https://www.youtube.com/watch?v=PuwsVOWnvnQ&t=2731s
施術回数についての該当部分
https://www.youtube.com/watch?v=PuwsVOWnvnQ&t=3120s
文字起こし資料
参考資料
Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management
National Institute for Health and Care Excellence
https://www.nice.org.uk/guidance/ng59/chapter/Recommendations
Spinal Manipulation: What You Need To Know
National Center for Complementary and Integrative Health
https://www.nccih.nih.gov/health/spinal-manipulation-what-you-need-to-know
4 Things To Know About Spinal Manipulation for Low-Back Pain
National Center for Complementary and Integrative Health
https://www.nccih.nih.gov/health/tips/things-to-know-about-spinal-manipulation-for-lowback-pain
東京ドクターカイロ 施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
著者情報
著者: 長澤一輝(ながさわ かずてる)
英語表記: Kazuteru Nagasawa, D.C.
学位: Doctor of Chiropractic(D.C.)
米国Cleveland Chiropractic College卒業。1999年にDoctor of Chiropractic専門職学位を取得。米国滞在8年、臨床歴25年以上。
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
