- 投稿日
- 最終更新日
問診をしないカイロが怖い理由|Historyは施術の前座ではない
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
こんにちは、Dr.Kazです。
私にとって、History Taking(問診)は施術前の事務作業ではありません。ケアは施術台へ寝たときではなく、話を聞き始めた瞬間から始まっています。
米国の大学で教授から教わったのは、問診が全体の80%を占めるという考え方でした。数字そのものを一律の科学的比率として示すのではなく、それほど臨床判断の土台がHistoryにある、という教育です。ろくに話を聞かず、記録も取らず、いきなり首を鳴らす。私はその方法をカイロプラクティックの本質とは考えません。
動画で話している箇所
History Takingが臨床判断の中心だという話
18分31秒〜20分54秒
問診には膨大な知識が必要だという話
1時間01分43秒〜1時間06分17秒
カルテは経過と判断を残す記録だという米国での学び
1時間19分30秒〜1時間21分46秒
Historyで「何をしないか」まで決める
問診では、痛い場所だけを聞きません。いつ始まったか、何をして始まったか、症状が広がるか、何で強くなり何で軽くなるか、夜間痛があるか、しびれや筋力低下があるか、外傷や手術歴、服薬、画像検査、過去に受けた施術とその反応を確認します。
この情報から、カイロの範囲か、医療機関を優先すべきか、どこを検査するか、どの手技を避けるかを決めます。問診はAdjustmentをするためだけではなく、Adjustmentをしてはいけない状況を見分けるためにも必要です。
画面越しの一文だけで「このストレッチをしてください」と言わないのも同じ理由です。身体の背景が分からない状態で運動を決めることは、私にはできません。
質問の深さは知識の量で変わる
「いつから痛いですか」と聞くだけなら誰でもできます。重要なのは、その答えから次に何を聞くかです。
腕のしびれなら、指の分布、頸椎運動との関係、腕を上げたときの変化、握力、脳神経症状を確認します。腰痛なら、外傷、発熱、排尿・排便、脚への放散、安静時痛を確認します。噛みしめなら、歯科所見、睡眠、マウスピース、頭痛、頸椎・胸椎の症状まで広げます。
問診は台本を読むことではありません。解剖学、神経学、病理学、臨床経験を使い、可能性を絞り込むClinical Reasoning(臨床推論)です。
PalpationはHistoryの仮説を手で確かめる作業
Historyで仮説を立てた後、Static Palpation(静的触診)で筋緊張、圧痛、温度感、左右差などを確認します。Motion Palpation(モーション・パルペーション)では、関節を小さく動かし、どの方向へ動きにくいか、隣の関節が代わって動いていないかを見ます。
ここで確認するサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)は、見た目だけの歪みではありません。Historyで聞いた動作や症状と、触れて確認した関節運動がつながって初めて、Adjustmentの対象と方向を考えられます。
触って硬いから押す、音が鳴りそうだから鳴らす、という手順ではありません。
カルテは患者さんの物語と判断を残す
ライブでは、米国のHistory Takingの授業で「なぜカルテを取るのか」と問われた経験を話しました。経過を観察するためであるのは当然です。それに加えて、何を聞き、何を確認し、なぜその判断をしたのかを後から検証できる記録でもあります。
米国のAHRQも、正確で完全な記録はケアの質、チーム間の連携、患者とのコミュニケーション、診断安全に関わると説明しています。カルテを取ること自体が技術の高さを保証するわけではありません。しかし、記録を残さずに継続的な変化を評価するのは困難です。
当院では、前回の反応、今回までの経過、新しく起きたことを次の判断へつなげます。毎回同じ場所へ同じAdjustmentをするのではなく、HistoryとReassessmentから内容を変えます。
初回に時間を使う理由
初回は、早く施術を始めればよいわけではありません。話を聞く時間を十分に取るのは、Dr.Kazが安全性と判断精度のために必要だと考えているからです。
自分の話をほとんど聞かれなかった、説明なく同じ手技を受け続けた、何を確認されたのか分からなかった方は、一度Historyから整理してください。銀座・虎ノ門エリアと福岡天神で、これまでの経過を含めて確認します。
まとめ
カイロプラクティックの専門性は、派手なAdjustmentだけではありません。Historyで可能性を整理し、Palpationで仮説を確かめ、必要な関節だけをAdjustmentし、Reassessmentで判断を検証する。その一連の流れがD.C.の臨床です。
銀座・虎ノ門エリアの初回予約はこちら
福岡天神の初回予約はこちら
Dr.Kazの経歴を確認する
この記事の一次情報
本記事は、2026年7月16日に行ったライブ「噛みしめと肩こり」で、長澤一輝D.C.が米国で学んだHistory Takingとカルテの重要性について語った内容をもとに構成しています。YouTubeでの動画公開日は2026年7月16日です。
参考資料
Challenges and Opportunities for Improvement in Diagnostic Documentation
Agency for Healthcare Research and Quality
https://www.ahrq.gov/diagnostic-safety/resources/issue-briefs/dxsafety-ehr-impact4.html
Chiropractic: In Depth
National Center for Complementary and Integrative Health
https://www.nccih.nih.gov/health/chiropractic-in-depth
著者情報
著者: 長澤一輝(ながさわ かずてる)
英語表記: Kazuteru Nagasawa, D.C.
学位: Doctor of Chiropractic(D.C.)
経歴: 米国Cleveland Chiropractic College卒業、1999年Doctor of Chiropractic学位取得、米国滞在8年、臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
