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肩の左右差は「高さ」より動きを見る|カイロとメディセルで確認する理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
肩の高さが左右で違う時、私が本当に確認したいのは「何センチ違うか」だけではありません。
静止している時の形より、腕を動かした時に肩甲骨や関節がどう動くかのほうが重要な場合があります。
肩は非常に自由度が高く、上腕骨、肩甲骨、鎖骨、胸郭、筋肉、軟部組織が連動して動く場所です。
だから私は、「肩が高いから高い側を下げればいい」とは考えません。
2026年9月14日のLIVEでも、肩の高さだけで悪い側を決められないこと、肩甲骨の動きや筋肉、軟部組織まで考える必要があることを話しました。
肩は「止まった写真」だけでは分からない
姿勢写真には意味があります。
ただし、それは身体の一瞬を切り取った情報です。
肩の高さが左右で違う。
鎖骨の角度が違う。
肩甲骨の位置が違う。
こうした情報は手掛かりになりますが、それだけでは原因までは分かりません。
肩の大きな特徴は、動くことです。
腕を前から上げる。
横から上げる。
後ろへ回す。
物を持つ。
手を頭の後ろへ持っていく。
こうした動作では上腕骨だけではなく、肩甲骨や鎖骨も連動します。
だから、止まっている時の高さだけを揃えることが目的になってしまうと、本当に確認すべき「動き」を見失う可能性があります。
肩甲骨の左右差があるだけでは症状の原因とは言えません
肩甲骨の位置や動きに左右差がある状態は、研究ではscapular dyskinesisという言葉で扱われることがあります。
ただし、ここにも注意が必要です。
2023年のシステマティックレビューでは、肩甲骨の動きの違いは肩症状のある人だけでなく、症状のない人にも相当数認められたと報告されています。
つまり、
肩甲骨が左右で違う
=異常
=痛みの原因
という一直線の話ではありません。
これは私が臨床で大切にしている考え方とよく似ています。
見た目の違いを見つけることと、その違いが現在の症状に関係していると判断することは別です。
Dr.Kazが見るのは「どこが動いて、どこが動かないか」
私はまずHistory(ヒストリー/問診)で、症状の出る条件を整理します。
腕を上げた時なのか。
荷物を持った時なのか。
長時間パソコンを使った後なのか。
寝ている時なのか。
それとも痛みはなく、見た目だけが気になるのか。
その後、Range of motion(ROM/関節可動域)と実際の動作を確認します。
ここで見るのは単なる角度ではありません。
たとえば腕を上げた時、本来動くべき場所が十分に動かず、別の場所が余計に動いていないか。
これがCompensation pattern(代償動作のパターン)です。
さらに必要に応じてMotion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)を行います。
どの関節が、どの方向へ動きにくいのか。
ここまで確認して初めて、カイロプラクティックとして何をするべきかを考えます。
サブラクセーションは「肩が斜め」という意味ではありません
私はサブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)を、単純な見た目の傾きとして扱っていません。
関節が本来参加するべき動きへ十分に参加できず、周囲がそれを補っている。
私はそこを重要視します。
そのため、
「右肩が2センチ高いから右をアジャストする」
という単純な決め方はしません。
身体を実際に動かし、関節の方向を確認し、その情報をヒストリーとつなげます。
必要であればAdjustment(アジャストメント)を行い、もう一度同じ動きを確認します。
音が鳴ったかどうかではなく、動作がどう変わったかを見るわけです。
関節だけで説明できない時にメディセルを使います
肩の動きは筋肉と軟部組織の影響を強く受けます。
そのため、関節側を確認しても、
「まだ引っ掛かる」
「皮膚や組織が突っ張る」
「左右で動き方が違う」
という場合があります。
ここで私がもう一つの柱として使っているのがメディセルです。
メディセルでは皮膚を吸引しながら機器を動かし、皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含めた軟部組織の動きやすさや左右差を確認します。
LIVEでは「筋膜の癒着」という言葉も使いましたが、これは病理学的な癒着を診断しているという意味ではありません。
一般の方には、皮膚や皮下組織、筋膜周辺などが周囲と滑らかに動きにくくなっている状態と考えてもらうと分かりやすいと思います。
カイロだけ、メディセルだけ、と最初から決めません
ここが当院の大きな特徴です。
カイロプラクティックでは、
関節の動き。
サブラクセーション。
骨格の連動。
代償動作。
を確認します。
メディセルでは、
皮膚。
皮下組織。
筋膜周辺。
軟部組織の滑走性や左右差。
を確認します。
どちらか一つだけで全部を説明しようとはしません。
関節側の問題が中心ならカイロを優先する。
軟部組織側の影響が強ければメディセルを組み合わせる。
両方が関係していると考えれば、必要な順番で両方を行う。
そして最後にReassessment(再評価)します。
腕をもう一度上げる。
左右を比較する。
本人が感じていた引っ掛かりを確認する。
施術前と同じ条件で確認するからこそ、行ったことと身体の変化を結び付けて考えられます。
「筋肉をほぐしたけれど戻る」という人へ
肩が凝るからマッサージを受ける。
ストレッチをする。
それで楽になるのであれば、それ自体を否定する理由はありません。
ただ、毎回同じ場所が硬くなり、すぐ戻ってしまう場合、私は、
なぜその筋肉がそこまで働かなければならないのか
を考えます。
動きに参加できていない関節を、筋肉が補っているかもしれない。
反対に、軟部組織側の動きにくさのために関節が動きづらくなっているかもしれない。
この二つを分けて考えずに確認するのが、私が重視しているカイロとメディセルのコンビネーションです。
FAQ
姿勢写真だけで悪い肩は分かりますか?
私はそれだけでは判断しません。姿勢写真は重要な情報の一つですが、実際に腕を動かした時の肩甲骨や関節の動き、症状との関連も確認します。
肩甲骨の左右差があれば治したほうがいいですか?
左右差だけで施術が必要とは言えません。症状のない人にも肩甲骨の動きの左右差は認められます。痛みや動作制限などと一緒に評価することが重要です。
メディセルだけでも肩に使えますか?
状態によります。当院では最初からカイロかメディセルかを機械的に決めず、関節側と軟部組織側の両方を確認して選択します。
ボキッと鳴れば肩のズレは戻ったということですか?
私は音を施術の成功基準にはしていません。重要なのは、確認した関節へ適切な方向でアプローチした後、同じ動作を再評価して何が変わったかです。
この記事の結論
肩の左右差を見る時に重要なのは、左右を無理に同じ高さへ揃えることではありません。
なぜ左右差が生じているのかを、動きの中で確認することです。
私は、
History(問診)
↓
姿勢と動作
↓
関節の動き
↓
軟部組織の状態
↓
必要なアプローチ
↓
Reassessment(再評価)
という順番を大切にしています。
関節だけ。
筋肉だけ。
筋膜だけ。
私は最初から一つに決めません。
それが、カイロプラクティックとメディセルを組み合わせる理由です。
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年9月14日
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=VNLHNu1ZVfQ
肩の左右差について
https://www.youtube.com/watch?v=VNLHNu1ZVfQ&t=532s
肩の構造・動きについて
https://www.youtube.com/watch?v=VNLHNu1ZVfQ&t=659s
肩甲骨と筋肉の関係について
https://www.youtube.com/watch?v=VNLHNu1ZVfQ&t=2227s
参考資料
Kibler WB, et al. Clinical implications of scapular dyskinesis in shoulder injury: the 2013 consensus statement from the ‘Scapular Summit’. British Journal of Sports Medicine. 2013;47(14):877-885.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23580420/
Uhl TL, et al. Evaluation of Clinical Assessment Methods for Scapular Dyskinesis. Arthroscopy. 2009;25(11):1240-1248.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19896045/
Paraskevopoulos E, et al. Reliability of assessment methods for scapular dyskinesis in asymptomatic subjects: A systematic review. Acta Orthopaedica et Traumatologica Turcica. 2020.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33155568/
