- 投稿日
- 最終更新日
舌と首は本当につながっている?|解剖学とカイロを混同しない
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube:
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
「舌と首はつながっていますか?」
解剖学的には、つながりがあります。
ただし私は、「つながっているから頸椎を調整すれば舌の位置が変わる」「舌を動かせば首のズレが直る」という説明にはしません。
2026年8月12日のLIVEでは、いびきを調べたことをきっかけに、舌、舌骨、喉、首まで話を広げました。解剖学的なつながりを追うことは非常に面白いと思っています。
一方で、LIVEの冒頭から「頸椎を変えたから舌の位置が極端に変わる、という話ではない」と明確に話しています。
ここが今回の記事で一番大事なところです。
「つながっている」と「原因である」は全く違う
人体の構造を調べると、ほとんどすべてがどこかでつながっています。
筋肉は骨につく。
筋膜や結合組織が周囲へ続く。
神経が走る。
血管が走る。
隣接する関節が連動する。
だから、
「AとBはつながっています」
という説明は珍しくありません。
問題はその次です。
AとBがつながっている。
↓
だからAが悪ければBも悪い。
↓
だからAを動かせばBが変わる。
この飛躍を私はしたくありません。
LIVEでも、舌と頸椎の間には舌骨周囲などを介した構造上の関係はあるけれど、それだけで「首を変えれば舌の位置が治る」とは言えない、と話しました。
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=AGX2_5CT2Bo&t=131s
舌・喉・首が一緒に動く場面はある
たとえばボイストレーニングでは、
「首へ力を入れないでください」
「喉を広く使ってください」
というように、首や喉周囲へ余計な力を入れないよう指導されることがあります。
LIVEでもその例を使って、首周囲へ強い力が入れば、喉周囲にも余計な緊張が生まれやすいという話をしました。
これは「頸椎がずれたから発声できない」という意味ではありません。
頭の位置、顎の保持、舌の使い方、喉周囲の筋緊張は、動作として完全に独立しているわけではないということです。
だから私が首を見る時も、首の骨だけを一個見て終わりにはしません。
頭をどう保持しているか。
顎を前へ出していないか。
肩が上がっていないか。
首を回した時に左右差があるか。
どの筋肉が強くGuarding(身体を守るために緊張している状態)しているか。
そういった情報をつなぎます。
サブラクセーションを見る時も「一か所だけ」で決めない
私のカイロプラクティックの中心には、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)という考え方があります。
ここでいう骨格のズレは、骨が脱臼して横へ飛び出しているという意味ではありません。
関節が本来参加すべき方向へ十分に動かず、その分を周囲が代償している可能性を含めて見ています。
だから首であれば、
History(ヒストリー/問診)
首のRange of motion、ROM(関節可動域)
筋肉の左右差
Static palpation(静的パルペーション/静止した状態で行う触診)
Motion palpation(モーション・パルペーション/関節を動かしながら行う触診)
などをつなぎます。
そして必要な関節と方向を絞ってAdjustment(アジャストメント)を行います。
その後、
首が回りやすくなったか。
違和感はどうか。
左右差はどうか。
最初と同じ動作をReassessment(再評価)します。
ここまでが私のカイロプラクティックです。
「舌と首はつながっているらしいから首を鳴らしておこう」
とは全く違います。
首のアジャストメントを「いびき施術」にしない
今回のテーマはいびきから始まっています。
そこで一番気をつけたいのが、
「舌と首がつながっている」
↓
「首がいびきの原因」
↓
「カイロでいびきが治る」
という流れです。
これは私自身がLIVEで否定しています。
いびきは上気道の空気の流れに関連する現象で、閉塞性睡眠時無呼吸では睡眠中に舌が後方へ移動することもあります。NIHも舌や軟口蓋による上気道の閉塞を説明しています。
しかし、そこから頸椎アジャストメントによるいびきの改善を一般化することはできません。
首に関節運動の問題があれば首を見る。
いびきがあるなら、いびきとして原因を考える。
睡眠時無呼吸が疑われるなら医療機関へ行く。
それぞれ分ける。
これが私の考えです。
では、カイロプラクティックで首を見る意味は何か
たとえば、
朝起きると首が痛い。
首が回らない。
顎を突き出した姿勢が続いている。
肩こりが強い。
後頭部まで張る。
こういった首そのものの問題が同時にあるのであれば、そこはカイロプラクティックで確認する意味があります。
私が確認するのは、「いびきがあるから首」ではありません。
その人の首が実際にどう動いているかです。
サブラクセーションが関係していると考えれば、必要なAdjustmentを行います。
軟部組織側の強い張りや滑走性の左右差があれば、メディセルを組み合わせることもあります。
メディセルでは皮膚を吸引しながら機器を動かし、首・肩周辺の皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含む軟部組織の動きやすさを確認します。
関節側はカイロ。
軟部組織側はメディセル。
そして最後に同じ動作を再評価する。
これが、私が最も重視している中核コンビネーションです。
現在の東京ドクターカイロでも、カイロプラクティックとメディセルケアを二つの施術の柱として案内しています。
「解剖学的につながる」は、施術の根拠のスタート地点
私が米国でカイロプラクティックを学んだ時、解剖学は徹底的に勉強しました。
その理由は簡単です。
身体へ触れるからです。
何がどこにあるのか。
この骨の隣には何があるのか。
どの筋肉がどこからどこまで走るのか。
その奥に何があるのか。
それが頭の中に入っていない状態で身体を扱うのは怖い。
でも解剖学を知っているだけでも足りません。
構造上つながっていることを知ったうえで、
「この人の症状に本当に関係しているのか?」
を確認する。
そのためにヒストリー、触診、動作確認、再評価があります。
知識と臨床判断は別です。
SNSの「○○と○○はつながっている」に注意する
今回、いびきから舌を調べていて、かなり強く感じたことがあります。
SNSでは、
舌と首はつながっている。
顎と姿勢はつながっている。
足と骨盤はつながっている。
筋膜は全身つながっている。
という情報がたくさん出てきます。
それ自体が間違いとは限りません。
でも、
「だからこれをやれば治る」
まで続いた瞬間に、一度止まった方がいい。
何を対象にした話なのか。
誰に当てはまるのか。
正常な人にも必要なのか。
再現性はあるのか。
別の原因は除外されているのか。
私はそこを見ます。
これは今回のLIVEで、ミューイングの小顔情報について疑問を持った理由とも同じです。
AAOも、舌の位置だけで顔面骨格や歯列を都合よく変えられるというミューイングの主張には科学的根拠がないとしています。
「つながっている」という言葉は便利です。
便利だからこそ、それだけでは臨床上の答えにはなりません。
FAQ
舌と首は解剖学的につながっていますか?
周囲の筋群や舌骨などを介した構造的な関連はあります。ただし、それだけで一方が他方の症状の原因だとは判断できません。
首が悪いと舌の位置も悪くなりますか?
一律には言えません。LIVEでも私は、頸椎を調整したことで舌の位置が大きく変化するという説明はしていません。
首を調整するといびきが減りますか?
それを目的としてカイロプラクティックを行うとは考えていません。いびきや睡眠時無呼吸については、必要に応じて睡眠外来・耳鼻咽喉科などで評価を受けてください。
首こりもある場合は相談できますか?
首そのものに痛み、可動域の左右差、肩こりなどがあれば、首の問題としてカイロプラクティックで状態を確認できます。
この記事の結論
舌と首は、解剖学的には無関係ではありません。
でも、
つながっていること。
原因であること。
そこへ施術すれば変化すること。
この三つは別です。
今回、いびきから舌を調べたことで、私自身も改めてこの区別が大事だと感じました。
身体の構造を知る。
そこから仮説を立てる。
実際の身体を確認する。
必要なところへアプローチする。
そして同じ動きをReassessmentする。
「○○と○○はつながっている」で終わらず、その先を確かめる。
それが私のカイロプラクティックです。
Dr.Kazへの相談・予約
施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
銀座・虎ノ門エリア料金案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/ginza-fee/
福岡天神料金案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/fukuoka-fee/
銀座・虎ノ門エリアの初回予約はこちら
https://airrsv.net/dr-chiro-tokyonakameguro/calendar
福岡天神の初回予約はこちら
https://airrsv.net/dr-chiro-fukuokahakata/calendar
無料相談
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/consultation/
著者プロフィール
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/staff/
この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年8月12日
動画タイトル
いびき調べたら舌と首つながった?
元動画
https://www.youtube.com/watch?v=AGX2_5CT2Bo
舌と頸椎の関係について
https://www.youtube.com/watch?v=AGX2_5CT2Bo&t=131s
舌・舌骨・首周囲の関係について
https://www.youtube.com/watch?v=AGX2_5CT2Bo&t=258s
首や喉の筋緊張について
https://www.youtube.com/watch?v=AGX2_5CT2Bo&t=321s
参考資料
Sleep Apnea – Causes and Risk Factors
National Heart, Lung, and Blood Institute, NIH
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/causes
What is Mewing, and Does it Work?
American Association of Orthodontists
https://aaoinfo.org/whats-trending/is-mewing-bad-for-you/
東京ドクターカイロ 施術案内
https://www.dr-chiro-nagasawa.com/treatment/
