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気圧頭痛にメディセルは役立つ?天候ではなく身体の下地を見る理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
気圧頭痛にメディセルが必ず役立つとは言えません。しかし、ライブで紹介した一例では、頭部へメディセルを行った後、それまで天候の変化に伴っていた頭痛が約1か月出ていないという経過がありました。
私はこの結果を、「メディセルが気圧を治した」とは考えていません。
気圧は変えられません。変化した可能性があるのは、気圧によって症状が出るために必要だった身体側の条件です。
この考え方が、気圧頭痛へカイロプラクティックとメディセルを組み合わせる理由です。
気圧はトリガーであり、下地が別にあるかもしれない
頭痛が出るまでには、複数の条件が重なっている場合があります。
たとえば、気圧変化という引き金に加えて、片頭痛を起こしやすい神経学的背景、睡眠不足、疲労、頸椎の動きにくさ、首や頭部の軟部組織の過敏性などが重なっているかもしれません。
天候だけが原因なら、同じ地域にいる人は全員同じタイミングで頭痛になるはずです。しかし、実際には症状が出る人と出ない人がいます。
私は臨床上、気圧という引き金よりも、その引き金に反応しやすくなっている身体側の下地を確認します。
ライブでは、メディセル後に頭痛が出にくくなった方について、気圧そのものへ働きかけたのではなく、症状を発生させる条件の一部へ変化が起きた可能性をお話ししました。
ライブで紹介した一例
ライブに参加されていた方は、天候が悪くなると頭痛が出る状態を長く経験していました。
ご家族にも同じような頭痛があったため、遺伝的なもので仕方がないと考え、私へ積極的に相談していたわけではありません。
頭部へのメディセルも、気圧頭痛を変える目的で行ったものではなく、施術を受けた本人も頭痛への結果を期待していませんでした。
その後、約1か月たっても気圧に伴う頭痛が出ていないという報告がありました。
これは非常に興味深い経過です。
ただし、期待していなかったからプラセボ効果が完全になかったと断定することはできません。また、一人の経過だけで、メディセルが気圧頭痛に有効だと証明されたことにもなりません。
この一例から言えるのは、天候に伴う頭痛であっても、頭部や首周辺の軟部組織を確認する価値がある方が存在するかもしれない、ということです。
メディセルは何を確認する機器なのか
メディセルは、皮膚を吸引しながら専用機器を動かす方法です。
当院では、皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含む軟部組織の動きやすさ、左右差、過敏性を確認するために使用します。
日常的には「筋膜の癒着を剥がす」と説明されることがありますが、公開記事では、病理学的な癒着を診断したように扱いません。
一般の方へは、皮膚や皮下組織などが周囲と滑らかに動きにくくなり、組織同士の滑走性が低下している状態として説明します。
頭部や首周辺で滑走性が低下している場合、次のような状態に関係する可能性があります。
- 首を動かした時に頭皮や後頭部が突っ張る
- 左右で皮膚や軟部組織の動き方が違う
- 首の関節が動いても、周囲の張りが残る
- 後頭部やこめかみ周辺が過敏になっている
- 頭痛が出る日に首や肩の緊張も強くなる
これらを確認したうえで、刺激量を調整しながらメディセルを使用します。
軟部組織への手技と頭痛の研究
筋膜リリースと呼ばれる軟部組織への手技を、緊張型頭痛、頸性頭痛、片頭痛へ使用した研究をまとめた2024年の系統的レビューでは、痛みや生活への影響が軽減する可能性が示されました。
ただし、研究数、介入方法、対象となる頭痛にばらつきがあり、結果の確実性には限界があります。
また、頸性頭痛を対象に、器具を用いた軟部組織への手技と脊椎マニピュレーションを組み合わせた無作為化比較試験も報告されています。
これらは、軟部組織へのアプローチに意味がある可能性を示す資料ではあります。
しかし、メディセルそのものを調べた研究ではなく、気圧頭痛を対象にした研究でもありません。別の手技の研究結果を、そのままメディセルの効果として置き換えてはいけません。
特定の神経受容器に効くと断定しない
皮膚へ触れる、引く、動かすという刺激は、身体にとって感覚入力になります。
ライブでは、弱くゆっくりした刺激と機械受容器との関係についてもお話ししました。
ただし、メディセルが特定の受容器だけを選択的に刺激し、その結果として気圧頭痛が変化するという仕組みは確認されていません。
「ルフィニ終末へ働きかければ気圧頭痛が改善する」など、現時点の根拠を超えた説明は避けるべきです。
私が実際に確認するのは、受容器の名前ではありません。
施術前に頭や首を動かした時の張り、左右差、過敏性があり、メディセル後に同じ動作や感覚がどう変わったかです。
カイロとメディセルをどう組み合わせるのか
気圧頭痛へ二つの方法を機械的に行うわけではありません。
私が重視する流れは次のとおりです。
- History(ヒストリー/問診)で頭痛の種類と経過を整理する
- 医療機関への相談を優先する危険サインがないか確認する
- 首のRange of motion(ROM/関節可動域)と頭痛の再現動作を確認する
- Motion palpationで頸椎や胸椎の関節運動を確認する
- 頭部、首、肩周辺の軟部組織の動きや過敏性を確認する
- カイロ、メディセル、または両方を選ぶ
- 施術後に同じ動作と本人の感覚をReassessment(再評価)する
カイロプラクティックでは、サブラクセーション(Subluxation/骨格のズレ)、関節運動、全身の連動を確認します。
メディセルでは、皮膚、皮下組織、筋膜周辺を含む軟部組織側を確認します。
関節だけ、筋膜だけに限定しないことが重要です。
これが、Dr.Kazが最も重視する中核コンビネーションです。東京ドクターカイロの公式サイトでも、カイロプラクティックとメディセルを二つの施術の柱として案内しています。
薬を否定せず、選択肢を増やす
気圧の変化が予想される日に、医師から処方された急性期治療薬や予防薬を使用している方もいます。
私は薬を否定しません。
頭痛を我慢し続け、仕事や生活ができなくなるより、適切な薬によって発作を管理することには意味があります。
問題は、薬だけに頼ることではなく、自己判断で薬を増減することです。
頭痛外来や神経内科で医学的に管理しながら、首や軟部組織が関係している可能性があれば、身体側の条件も確認する。この組み合わせが現実的です。
医療機関への相談を優先する頭痛
次の症状がある場合は、メディセルやカイロより医療機関を優先してください。
- 突然発生した非常に強い頭痛
- 片側の麻痺やしびれ
- 発語、歩行、意識の異常
- 発熱と強い首の硬さ
- 急激な視力低下
- 頭部外傷後に始まった頭痛
- 今までと明らかに異なる頭痛
- 頭痛の強さや頻度が急速に増えている
この記事の結論
気圧頭痛にメディセルが必ず役立つとは言えません。
ただし、気圧を最後の引き金と考えた場合、頭部や首周辺の軟部組織の滑走性や過敏性が、症状を起こしやすくする条件の一つになっている方はいるかもしれません。
ライブで紹介した一例は、その可能性を考えるきっかけにはなりますが、効果を保証する証拠ではありません。
だからこそ、最初から「気圧だから仕方がない」「メディセルで治る」と決めず、関節側と軟部組織側を分けて確認し、施術後に再評価することが必要です。
Dr.Kazへの相談・予約
次のような方はご相談ください。
- 天候が崩れると頭痛が出るが、原因を一つに決めたくない方
- 頭痛と同時に首、肩、頭皮の張りを感じる方
- カイロだけでなく軟部組織側も確認してほしい方
- メディセルが自分の状態に必要か相談したい方
- 医療機関の頭痛管理と並行して身体を確認したい方
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年7月30日
元動画
気圧頭痛 天気痛とカイロプラクティック
メディセルを受けた方の経過について
https://www.youtube.com/watch?v=uc8t2DG6sIM&t=541s
メディセルと感覚入力について
https://www.youtube.com/watch?v=uc8t2DG6sIM&t=747s
気圧をトリガー、身体側の条件を下地として考える部分
https://www.youtube.com/watch?v=uc8t2DG6sIM&t=2844s
文字起こし資料
参考資料
Myofascial Release for the Treatment of Tension-Type, Cervicogenic Headache or Migraine
Pain Research and Management
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38585645/
An Additive Effect of Instrument-Assisted Soft Tissue Mobilization with Spinal Manipulation in Cervicogenic Headache
Pain and Therapy
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39467979/
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著者情報
著者: 長澤一輝(ながさわ かずてる)
英語表記: Kazuteru Nagasawa, D.C.
学位: Doctor of Chiropractic(D.C.)
米国Cleveland Chiropractic College卒業。1999年にDoctor of Chiropractic専門職学位を取得。米国滞在8年、臨床歴25年以上。
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
