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気圧頭痛は本当にある?低気圧だけを原因にできない理由
執筆: 長澤一輝, D.C.
米国Cleveland Chiropractic College卒業
Doctor of Chiropractic(D.C.)専門職学位取得
臨床歴25年以上
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
YouTube
https://www.youtube.com/@Nagasawa_Drofchiropractic
こんにちは、Dr.Kazです。
天気が崩れる前になると頭が痛い。気圧アプリを見ると、やはり気圧が下がっている。このような経験を「気のせい」で片づける必要はありません。
気圧や天候の変化と片頭痛の関係を示した研究は実際にあります。ただし、すべての人が同じ気圧で頭痛を起こすわけではなく、気圧が人体のどこへ作用しているのかも完全には解明されていません。
私の結論は、気圧は頭痛を起こす最後の引き金にはなっても、気圧だけを唯一の原因と考えない方がよい、ということです。
「気圧頭痛」は一つの決まった病名ではありません
一般に気圧頭痛や天気痛と呼ばれていても、実際の頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、首から関係する頭痛などが含まれている可能性があります。
国際頭痛分類では、片頭痛は片側性、拍動性、中等度以上の痛み、日常動作による悪化、吐き気、光や音への過敏などを特徴とします。一方、気圧頭痛という独立した一次性頭痛の診断名が設けられているわけではありません。
したがって、「雨の前に痛む」という情報だけで、頭痛の種類や原因を確定することはできません。
後頭部が痛むのか、こめかみが脈打つのか、首を動かすと再現されるのか、吐き気や光への過敏を伴うのか。まずは症状の中身を分けて考える必要があります。
気圧と片頭痛の研究結果は一致していません
気圧変化と頭痛に関する研究は、関係を示すものと、明確な関係を示さないものが混在しています。
日本で片頭痛のある28人に1年間の頭痛日誌をつけてもらった研究では、18人で天候変化と片頭痛の発生に関連がみられました。気圧が5ヘクトパスカル以上低下した条件で、片頭痛の頻度が増える傾向も報告されています。
一方、2025年に日本の医療保険データと気象データを組み合わせ、片頭痛の記録がある2万6777人を調べた研究では、気圧変化の大きい季節と片頭痛発生の間に明確な関連は確認されませんでした。
2025年の系統的レビューでも、気圧変化が片頭痛の頻度や強さに影響する可能性は示されたものの、研究方法や結果にばらつきがあり、誰にどの程度影響するかは確定していません。
つまり、気圧との関連を感じる人が存在することと、気圧がすべての頭痛を説明することは別の話です。
気圧を感じるセンサーはどこにあるのか
現在、有力な候補の一つとして考えられているのが内耳です。
内耳には平衡感覚に関係する前庭系があります。神経を損傷させたラットを使った研究では、気圧を低下させた時に増える痛み関連行動が、内耳へ処置を行うと増えなくなりました。研究者は、気圧変化を痛みへつなげる感知系がラットの内耳に存在する可能性を示しています。
また、気圧変化によってラットの三叉神経系の神経活動が増加した研究もあります。
ただし、これらは主に動物実験です。
人間の気圧頭痛がすべて内耳によって起こり、同じ経路で説明できると確定したわけではありません。内耳、三叉神経系、痛みの感受性、睡眠、ストレス、首の状態など、複数の条件が重なっている可能性があります。
ライブでも、気圧変化による頭痛は現実に存在する一方、どの受容器や器官が人間の症状を起こしているのかは、まだ十分に分かっていないとお話ししました。
気圧は引き金で、身体側に別の条件があるかもしれない
天候を変えることはできません。
だからこそ私は、気圧が下がった時に頭痛が出る人と出ない人の違いを考えます。
同じ雨の日でも、全員が頭痛になるわけではありません。気圧以外に、次のような条件が重なっている可能性があります。
- 片頭痛を起こしやすい神経学的な背景
- 睡眠不足や生活リズムの乱れ
- 水分不足や食事間隔の乱れ
- 首や上部頸椎の動きにくさ
- 頭部、首、肩周辺の軟部組織の過敏性や滑走性の低下
- ストレスや疲労の蓄積
この中のどれが関係しているかは、人によって異なります。
「低気圧だから仕方がない」と最初から諦めるのではなく、変えられない気圧以外の条件を確認することが重要です。
まず頭痛日誌をつけてください
気圧との関係を確認するには、記憶だけに頼らず記録する方法が現実的です。
頭痛日誌には、次の内容を記録してください。
- 頭痛が始まった日時
- 痛む場所
- ズキズキする、締めつけるなどの痛み方
- 痛みの強さ
- 吐き気、めまい、光や音への過敏
- 首を動かした時の変化
- 睡眠、食事、水分、ストレス
- 使用した薬と反応
- 当日の天候や気圧変化
頭痛日誌は、片頭痛の状態や薬の反応を医師へ伝え、治療方針を考える材料になります。
気圧アプリの警告だけを見て「今日も必ず痛くなる」と決めるのではなく、自分の症状と実際の気象条件がどの程度一致するかを確認するために使ってください。
すぐに医療機関へ相談すべき頭痛
次の症状がある場合は、気圧頭痛と自己判断せず、医療機関への相談を優先してください。
- 突然発生し、短時間で最大になる激しい頭痛
- 今まで経験したことのない頭痛
- 顔や手足のしびれ、筋力低下
- 言葉が出にくい、歩けない、意識が混乱する
- 発熱、首の強い硬さ、発疹
- 頭部外傷後に始まった頭痛
- 視力低下や物が二重に見える症状
- 日ごとに急速に悪化している頭痛
突然の激しい頭痛や新しい神経症状は、脳血管障害など緊急性の高い状態でも起こります。
この記事の結論
気圧や天候の変化と片頭痛に関連がみられる人は存在します。しかし、研究結果は一様ではなく、人間が気圧を感知して頭痛へつなげる仕組みも完全には解明されていません。
したがって、「気圧だけが原因」と考えるのではなく、片頭痛の特徴、首の動き、睡眠、疲労、軟部組織の状態などを分けて確認する必要があります。
変えられない天候を追いかけるのではなく、自分の身体側にある変えられる条件を探す。私はこの考え方を大切にしています。
Dr.Kazへの相談・予約
次のような方はご相談ください。
- 天気が崩れるたびに頭痛を繰り返す方
- 薬だけでなく身体側の条件も確認したい方
- 後頭部の痛みと首の動きに関係を感じる方
- 頭部、首、肩周辺の軟部組織も確認してほしい方
- 医療機関で緊急性を否定された後も頭痛が続く方
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この記事の一次情報
ライブ開催日
2026年7月30日
元動画
気圧頭痛 天気痛とカイロプラクティック
気圧頭痛の原因と研究状況について
https://www.youtube.com/watch?v=uc8t2DG6sIM&t=221s
気圧頭痛を身体側の条件から考える部分
https://www.youtube.com/watch?v=uc8t2DG6sIM&t=2713s
文字起こし資料
参考資料
Influence of barometric pressure in patients with migraine headache
Internal Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21921370/
Association between seasons with substantial atmospheric pressure change and migraine occurrence
Frontiers in Neurology
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41018193/
Impact of Barometric Pressure Changes on the Severity, Frequency, and Duration of Migraine Attacks
Cureus
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41245912/
The inner ear is involved in the aggravation of nociceptive behavior induced by lowering barometric pressure of nerve injured rats
European Journal of Pain
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19318284/
頭痛の診療ガイドライン
日本頭痛学会
https://www.jhsnet.net/guideline.html
著者情報
著者: 長澤一輝(ながさわ かずてる)
英語表記: Kazuteru Nagasawa, D.C.
学位: Doctor of Chiropractic(D.C.)
米国Cleveland Chiropractic College卒業。1999年にDoctor of Chiropractic専門職学位を取得。米国滞在8年、臨床歴25年以上。
活動拠点: 銀座・虎ノ門エリア、福岡天神
